現職大統領が異例の弱さに喘いでいる。

​ 来年11月はアメリカの大統領選挙が予定されているが、現職のバイデン大統領が、最近のどの世論調査でもトランプ前大統領にリードを許している(写真=バイデン大統領対トランプ前大統領)。​

 


自国優先主義極まれるトランプ氏​​

 そもそも81歳と高齢なだけに、決して国民的人気があるわけではないトランプ氏に僅差のリードを許していたところに、ガザ戦争でイスラエル支持一辺倒なところが反戦気分の高い若者にそっぽを向かれ、トランプ氏との差が開く一方となっている。

 年齢を言えば、トランプ氏だって決して若くはない(77歳)。ただ威勢がいいだけに、バイデン大統領と年齢差が余計に大きく見えている。

 ちなみにトランプ氏の再登場は、1期目以上に世界に衝撃をもたらす。自国優先を徹底し、全世界からのアメリカへの輸入品に関税1割載せや、対外関係のいっそうの希薄化を明確にしている。
 

プーチンが心待ちにするウクライナ支援の途絶​

 特にNATOからの離脱懸念、そして最も憂慮されているのはウクライナへの軍事支援をやめ、ゼレンスキー政権に圧力をかけ、プーチンのロシアとの和平交渉を強要することだ。むろんその場合、クリミアはもちろん2022年からの侵略で新たに占領した東部4州のロシアへの正式割譲を迫るだろう。

 だからプーチンは、今、大統領選を心待ちにしているのだ。

 それを許さないためには、バイデン大統領に勝ってもらうしかないが、その支持率が上記のとおりの体たらくだ。
 

不出馬断念も、遅すぎてはいけない​

 だから次善の策として、バイデン大統領が再選出馬を断念し、若い清新なイメージの政治家が民主党候補になることだ。

 しかし、それは遅すぎてはいけない。

​ かつて不人気なベトナム戦争推進のために、民主党大統領候補者選びの予備選の初めの3月に再選断念に追い込まれたジョンソン大統領のように(写真=再選不出馬を発表するジョンソン大統領)、予備選が始まってからだと大統領選本選の対立候補の準備が間に合わない恐れが強いからだ。​

 

 

 世界のために、バイデン大統領は遅くも来年の年初に再選断念を表明し、新しい候補者の擁立に力を尽くしてほしい。最悪、ハリス副大統領でもいい。少なくともトランプ「大統領」になるよりは、そちらの方が世界のためになる。


昨年の今日の日記:「僕の選んだ2022年世界10大ニュース:侵略戦争にインフレなど21世紀で最も激しかった動乱の年」