​​ これまで前期石器時代(Early Stone Age)の木製遺物などが見つかっていたザンビア、カランボ・フォールズ(下の写真の上)で、2019年に水浸しの「サイトBLB」で行われた発掘で加工された木製品が5点見つかり、その詳細がイギリス、リバプール大のローレンス・バーハム教授ら国際調査チームによって科学誌『ネイチャー』10月5日号で報告された(下の写真の下)。

 

 

 

 

横木を削って切り込み作る​

​ 注目されたのは、大きな柱に横木を思わせるノッチの入った木製品が組み合わさって見つかった遺物だ(写真)。石器で削って横木に切り込み(ノッチ)を作り、柱に組み合わせて構造物を建てたように見える。上に葉を葺いて、雨を防ぐ小屋として使っていたのだろうか。​

 

 

 

 年代はルミネッセンス法で47.6万年前±2.3万と出された。

 カランボ・フォールズでは、今から半世紀以上前の1950年代から60年代にかけて、アフリカ考古学の泰斗デズモンド・クラークにより数次にわたる発掘調査が行われ、アシューリアン石器と共に、木製の棍棒と掘り棒も見つかっていて、年代は今回発見の木造遺構と大差ないと思われる。
 

ドイツでは約30万年前の木槍も​

 推定年代から考え、南部アフリカにまだホモ・サピエンスが出現しない前なので、調査者たちは木造遺構はホモ・ハイデルベルゲンシスの作ったものと考えている。

 石器に比べて有機材である木の出土は、カランボ・フォールズのような水浸しの地層に埋蔵されないと見つかりにくい。

​ だからドイツ、シェーニンゲンで発見されている推定30万年前の木槍のように(写真=全部で8本見つかっているが、そのうちの5本)、狩猟民が尖端尖らせた木槍を投げ槍として使っていた可能性も重要な推定像だ。​

 

 

 これまで旧石器考古学者は、主に石器でしか過去の人間行動を推定できなかったが、この発見で、ホモ・サピエンス以前の旧人類の新たな行動が垣間見えたのは、大きな成果だった。


昨年の今日の日記:「小さな原虫トキソプラズマがオオカミをマインドコントロールして群れのリーダーにしていた!? プーチンも感染者か」