カナダ、モントリオール大や東京大学の研究グループは、地球から約90光年離れた恒星の周りに、火山活動が活発に起きているとみられる、地球と同程度の大きさの系外惑星を新たに発見した。
 

新発見の惑星dの大きさはほぼ地球並み​

 新発見の系外惑星は、コップ座の方向にあるLP791ー18で、これまでに、NASAの系外惑星探査衛星「TESS(テス)」による観測で2つの惑星bとcが見つかっていた。

 今回、NASAの宇宙望遠鏡「スピッツァー」による127時間におよぶ連続観測から、新惑星dが発見された。

​ LP791ー18を周回する3つの系外惑星は、内側からb、d、cの順で、新発見のdは真ん中にある()。​

 半径は地球のおよそ1.03倍と、地球にとてもよく似ている(想像図;右側の青い点が外側の惑星c)。​

 

 

 母天体のLP791ー18は、太陽よりも小さく、表面温度も低い。宇宙の恒星全体の8割を占める典型的な赤色矮星だ。
 

外側の惑星cは地球の9倍も重い​

 惑星dの半径はほぼ地球並みだが、母天体からの距離は太陽―地球間よりはるかに近く、公転周期は約2.75日。また内側の惑星bは、約0.94日、外側の惑星cは約4.99日だ。3惑星は公転するたびに他の惑星と接近するタイミングが訪れるが、この時、お互いの引力がそれぞれの動きに影響を及ぼし合う。

 地上からの観測では、惑星cが恒星の前を通過するトランジット時刻が、惑星dの存在によってずれる様子が検出された。これにより、惑星dは半径だけでなく質量も地球と同程度であること、外側の惑星cは地球の9倍も重いことが分かった。
 

木星の第1衛星イオと同じ状況​

 新惑星dは、質量の大きな外側の惑星cに引っ張られることで、軌道がわずかに楕円形になっている。このため惑星dは中心の恒星に近づいたり遠ざかったりすることになり、恒星からの潮汐力が強く働くことになる。惑星dの一部が他の部分より強く引っ張られて、摩擦により惑星内部が加熱されている可能性が高い。

​ 太陽系でも強い潮汐力の生まれている例は存在する。木星のすぎ近くを周回する第1衛星イオで、強い潮汐力で内部の岩石がマグマになっており、それが火山噴火として噴出している様子がボイジャー1号の観測で発見された(写真=プルームを噴き上げるイオ)。​

 

 

 とすれば、直接観測こそできないが、新惑星dにも活発な火山活動がなされていると想像される。
 

生命存在の可能性はほとんど無し​

 計算によると、新惑星dは、母天体のLP791ー18にごく近いが、母天体が低温の赤色矮星であることから、ギリギリでハビタブル・ゾーンに収まるという。

​ ただ、これだけ近いと、赤色矮星に多いと言われるスーパーフレアによる宇宙線照射をまともに受けることになり、だとすれば生命存在の可能性はほとんど無いだろう。

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