​ ウクライナ南部ヘルソン州のカホーフカ水力発電所のダムが、ロシア侵略軍によって6日破壊された蛮行は、被害の様子が少しずつ明らかになってきて、テロ国家ロシアの民間施設への大規模テロであることが明確になった(写真=破壊されたダム)。

 


 

農業地帯に大被害​

 テロ国家ロシアは、例によって自分たちの犯行を認めず、ウクライナ軍の破壊活動だと責任転嫁のデタラメをわめき散らしている。

 しかし誰が被害を受けたかを見れば、その犯行主体は明らかになってくる。

​ ダムの架かるドニェープル川の下流が広く水浸しになり、ウクライナ国民の数万人が被災した(写真)。具体的数字はまだ不明だが、死者と行方不明者も出ている。

 

 

 さらに水没したヘルソン州は、ウクライナ有数の穀倉地帯で、小麦とトウモロコシの畑が水浸しとなった。日本の耕地面積の10分の1の約42万ヘクタールが利用できなくなり、灌漑施設の破壊で今後2~3年は農業ができなくなるという。灌漑システムへの被害総額は、推計で100億ドルにも達するという。

 灌漑システムへの被害は、隣のザポロジエ州にも広がっている。

 ウクライナ南部の農業生産の回復には10年以上の年月がかかるという見方もある。農業国ウクライナには、大きな打撃となっている。
 

小麦反騰でテロ国家ロシアはボロ儲け​

 この大規模テロにより、さっそく小麦の国際相場が反応した。穀物輸出高世界1のロシアの小麦が今年は豊作と予測されているため、シカゴの先物価格は6日、一時前日比4%高の1ブッシェル=6.48ドルの高値をつけた。

 小麦価格は、ロシアの豊作予測で、先月末には2年半ぶりの安値をつけていた。それが、反騰である。

 これによりテロ国家ロシアは、自国産小麦価格の上昇により巨利を得る。ウクライナと同国民、そして安い輸出小麦を期待する飢えるグローバルサウス最貧国国民が犠牲になる。おそらくテロ国家ロシアにとって、この小麦反騰による外貨稼ぎも計算に入れていたのだろう。
 

ウクライナ防衛軍にとって反攻の機先を制されて打撃​

 ウクライナ防衛軍にとって、このテロは、反攻の矢先に手痛い打撃になった。

 まず被災民救援のために、軍と装備、食料などを割かねばならない。これで1カ月は、反攻が鈍らされるかもしれない。

 第2に、水浸しの平原を進軍することはできない。戦車も、装甲車も、使えないのだ。テロ国家ロシアのやったのは、戦国時代の秀吉が多用した水攻めの現代版に他ならない。

 冷却水の取水を妨げられたザポロジエ原発も、心配である。

 これ以上、テロ国家の思うままにさせてはいけない。アメリカは、ロシア本国へのウクライナの攻撃を容認し、戦闘機やミサイルなどの思い切った軍事援助が必要な段階に至っていると思う。

昨年の今日の日記:「奥日光の山旅⑤:半月山への道;天上の広場、茶ノ木平からさらに絶景の待つ尾根道へ」