かねてから予測されていたウクライナの対ロシア侵略軍に対する本格反攻が始まったようである。ウクライナ政府もウクライナ防衛軍も明言していないが、西側軍事筋も、4日を境に戦闘が激しくなったと見ている。
 

カホーフカ水力発電所のダム破壊​

​ これに対し、ロシア侵略軍は6日未明、同軍占領下にある南部ヘルソン州のカホーフカ水力発電所のダムを破壊した(写真)。​

 

 

​ このダムの架かるドニェープル川は氾濫し、下流のヘルソン市など多くが水浸しになっている他、これもロシア侵略軍が占拠しているザポロジエ原発の給水が絶たれた(写真=ドニェープル川対岸から見たザポロジエ原発)。​

 

 

 今のところ、同原発の全原子炉は運転停止しているので、冷却水の供給に不足するわけではないようだが、相次ぐロシア侵略軍の不法極まる民生用施設への破壊攻撃は、厳しく非難されて然るべきだ。
 

ワグネルもロシア軍の「敗走」と認める​

 むろんロシア侵略軍は、こうしたことを一切認めず、ウクライナを非難している。ダムの決壊で困難に陥るのはウクライナであり、占領軍のロシア侵略軍にすれば、敵の攻撃を避けられるので、ウクライナ防衛軍が破壊するはずはない。

 またウクライナ防衛軍の反攻に対しても、各地で攻勢を撃退し、ドイツ供与のレオパルト2戦車など多数を破壊したと主張している。いつもながらの「大本営」発表である。

 ウクライナ防衛軍が攻勢でロシア侵略軍を駆逐しつつあるのは、戦線に投入されているロシアの民間軍事会社ワグネルのプリゴジンも認めている。プリゴジンは5日、激戦地バフムトに近いベルホフカの一部がウクライナ防衛軍に奪取され、「(ロシア侵略軍)の部隊は敗走している。恥ずべきことだ」とSNS上でロシア侵略軍を批判した。
 

ロシア反体制派軍もパルチザン攻撃活発化​

 反攻で、ウクライナ防衛軍が前進しているのは確かなようで、あとはロシア侵略軍がどこまで持ちこたえられるかにかかる。

 報道によると、ミャンマーなど途上国に輸出した武器を買い戻すほど、ロシア侵略軍は兵器不足に悩まされている。そのうえに、敵地で戦う侵略軍は地政学的に明らかにハンデを負っている。総崩れの可能性も決してないわけではない。

 一方、ウクライナとの国境を接するロシア領内へのロシア反体制派の2つの軍、「自由ロシア軍」と「ロシア義勇軍」によるロシア領内でのパルチザン攻撃も激しくなっている。

​ 2つのロシア反体制派軍は、ウクライナの支援のもと、ウクライナ防衛軍と協調して攻撃に参加している(写真=ロシア反体制軍)。ウクライナ領内でロシア侵略軍が敗勢すると、両軍に呼応したロシア国内での反乱も起こる可能性がある。​

 

 

 ロシア侵略軍によるウクライナ侵略戦争に重要な転機が訪れている。


昨年の今日の日記:「ロシア侵略軍、東部2州でも徐々に後退:激戦下に侵略軍少将クツーゾフ戦死」