五稜郭タワーから下に降り、場内の散歩である。

​ まず一刻も早く、旧箱館奉行所を観たかった(写真)。​

 

 


 

2010年に正確に復元​

​ 上に帽子のような天守閣状の施設を載せた堂々とした建物だ(上の写真)。ただ、むろんこれは、復元である。本物の箱館奉行所の庁舎は、1871年(明治4年)に新政府の手で解体されてしまった。文化財として意識もなく、敵方の庁舎という憎しみからの軽挙であった。​

​ その後、昭和後期に入って、五稜郭内のかつての建物跡などの発掘調査が進められ、五稜郭全体の整備に伴い、箱館奉行所庁舎の復元が図られた。2010年、発掘で確定した遺構、当時の絵図面や古い写真を基に、当時と同じ場所に同じ木材を使って当時と同じ工法で奉行所庁舎を高い精度で復元させたのだ(写真)。

 

​ ただ復元されたのは、庁舎全体の3分の1ほどで、勤務していた役人たちの住居などはそのまま土で埋め戻されている(写真)。​

 

 


 

幕末の建物なので内部はすべて畳敷き​

 内部は500円で見学できる。

 木造の当時のままだそうだから、冬は寒く、夏は暑かっただろう。

 幕末の建物だから仕方がないが、内部はすべて畳敷き、採光も十分ではない。雨戸がすべて閉まっていたから、よけいに暗く感じられたかもしれない。

 それにしても行政事務を取り扱うには、西洋建築と比べるとずいぶんと非能率・不便に思える。

 だいたいの様子はうかがえた。発掘で出土した遺物の展示は、ほとんどない。

 ただじっくり観るには、外の桜見物が木にかかった。どうしても早足で通り過ぎるだけになる。だいたい20分ほどで、外へ出た。

 

ソメイヨシノの花の香が漂う満開の公園​

 後は、公園内の約1500本の桜見物である。

​ 時刻は3時近くになり、しかもあいにく雲が広がっていた。時折、しぐれ模様で、濡れないほどの雨になった。また風も強くなっていた。そのため、タクシーで公園にかけつけた時より、観桜客はかなり少なくなっていた。光線は乏しいが、写真撮影には好都合だ(写真)。​

 

 

 

 

 

 それにしても桜は、見事と言うしかない。ソメイヨシノはクローン株だけに、花粉を昆虫に媒介してもらう必要がないため、通常は全くと言っていいほど、花の香がしないのだが、五稜郭公園のソメイヨシノはほのかに香りが漂っている。僕は、行ったり来たりも含めて1時間弱、桜を楽しんだ。

 

外国人観光客の姿が目立つ​

 その頃になって、気がついた。

 見物客に、多くの外国人がいることに。アジア系、肌の浅黒い南アジア系、また白人もいる。外国人観光客は、主流の東京、京都ばかりでなく、函館にも押し寄せてきているのだ。

 インバウンド観光客の姿は、翌日の函館市内でも多く見かけた。海鮮市場にもやって来ていて、翌日の朝に入った函館駅前の朝市の食堂でも何組も見かけた。

 武漢肺炎の3年間で疲弊した観光地は、ほぼ蘇りつつあった。

(記事は4月23日現在のもの、この項続く)


昨年の今日の日記:「当選当時の力量を危ぶんだ西側の懸念を払拭、戦争下の首都に踏み留まり、国内と世界にウクライナの健闘とロシアの非道を発信し続けるゼレンスキー大統領」