​​ テロリスト国家ロシアのウクライナ侵略開始1年を期して、国連総会緊急特別会合で欧米、日本など50カ国以上が共同提案したロシア侵略軍の即時撤退などを求める決議が賛成141カ国の圧倒的多数で採択された(写真)。反対は7カ国(ロシア、ベラルーシ、北朝鮮、エリトリア、マリ、ニカラグア、シリア)、スターリニスト中国やインド、南アフリカなど32カ国が棄権した。

 

 

明白な国際法違反、ジュネーブ条約蹂躙なのにロシア非難の声は増えない​

 決議は、武力によるいかなる領土の取得も認められないと再確認し、ロシア軍の「即時、完全、無条件」の撤退を要求した。領土保全など、国連憲章に合致した形での和平を達成する必要性も盛り込んだ。また国際法上の犯罪には「適切かつ公正で独立した調査と訴追」が必要だとも強調した。

 国連総会は、ロシアのウクライナ侵略開始後、これで6回の決議を採択したが、内容を見ると、賛成、反対、棄権の国の数は、ほとんど変わらない。明白な国際法違反で、非戦闘員も大量に殺害するジュネーブ条約を踏みにじっているのに、国際社会は、欧米先進国以外、賛成に足並みを揃えない。
 

アフリカ、中米にロシア支持が浸透する​

 それどころか、昨年3月の最初の決議に棄権していたマリとニカラグアが反対に回った。マリには、イスラム原理主義過激派を掃討するために駐留していたフランス軍が撤退後、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」が入り込み、明確な親ロ国になった。ニカラグアは反米左派の大統領オルテガが昨年、緊急事態などにロシア軍の駐留を許可する大統領令を出している。テロリスト国家ロシアが、途上国に徐々に浸透している。

 それ以上に、従来からの棄権国を賛成に転換できていない。ある意味、テロリスト国家ロシアは、ウクライナで何をしようとOKという無関心の「お墨付き」を得たようなものだ。
 

インドを非難賛成に回らせられない西側諸国の努力不足

 特に、世界最大の民主主義国であるインドを、賛成に回らせられないのは、深刻である。欧米、特に自由と民主主義の守護職であるアメリカ、かつての宗主国のイギリス(写真=ロンドンのロシア大使館前の道路が23日、市民たちの手でウクライナ国旗の青と黄色に染められ、ウクライナへの連帯が示された)、そしてアジアの同じ民主主義国であり、友好関係のある日本が、インドを「転向」させられないのは、問題だ。​

 

 

 むろん安保理と異なり、国連総会には強制権は無い。その意味で、どんな決議を採択しても、テロリスト国家ロシアを懲罰することはできない。しかし、国際社会の総意をテロリスト国家ロシアに突きつけるには、さらに賛成票の上積みが必要だ。特にインドが賛成に回れば、第三世界で様子見の国も賛成に転換できるだろう。

 欧米と日本は、まだまだ努力不足である。


昨年の今日の日記:「ウクライナ侵略にロシアの市民も抗議集会・デモ、拘束の危険を顧みず、プーチンに抗議するロシア市民の良心に敬意」