​ テロリスト国家ロシアのウクライナ侵略戦争を受け、このところ2024年パリ夏季五輪(写真=パリ五輪のモニュメント)へのロシアとその同盟国で共犯国であるベラルーシの選手の参加をめぐる問題が大きくなっている。


 

ロシア・ベラルーシ参加の場合はウクライナ五輪委は大会ボイコット​

​ 商業主義に毒されたIOCは、ともかく観客を呼べるロシアの有力選手を参加させようと、「国を代表しない、中立的な個人としての資格で」参加させることを探っているが、これに対しては、即座にウクライナ・オリンピック委員会(UOC)と同国政府が反発した。どのような形であろうと、ロシアとベラルーシの選手が参加する場合は、ウクライナはパリ五輪をボイコットすると明言している(写真=21年の東京五輪開会式のウクライナ選手団の入場行進)。​

 

 

 これに、スターリン時代にソ連に侵略・征服され、強制的に併合されたバルト3国のラトビアも、ロシアとベラルーシが参加の場合、ボイコットをすると言っている。
 

北欧5カ国とパリ市長も批判​

 それにさらに勢いがついた。7日には、ロシアの脅威にさらされる北欧諸国(スウェーデン、フィンランド、ノルウェー、アイスランド、デンマーク)5カ国が、「今は彼らの(ロシアとベラルーシのこと)の復帰を考える時期ではない」と、ロシアとベラルーシの選手の参加に反対する声明を出した。

​ さらに開催都市パリのイダルゴ市長(写真)も、「ウクライナに爆弾が落ちているのに、何事も無かったかのようにロシアとベラルーシの選手団がパリに来たりするということはあり得ない」と、フランスのメディアに語った。​

 

 

 また通信社によると、バルト3国のもう1つの国のエストニアのカラス首相も、両国の選手の参加が認められた場合、五輪ボイコットを示唆したという。こうなれば、リトアニアも足並みを揃えることは確実だ。
 

ウクライナのボイコット、ロシア・ベラルーシ参加なら五輪の死だ​

 ボイコットや反対の声が広がれば、西側諸国でも同調する国が出てくるだろう。

 侵略された国(ウクライナ)とそれに同調する国々が大会をボイコットし、侵略戦争を行っている国とその共犯国が五輪に参加した場合、もうこれはオリンピックの死滅、と断言していい。

 そもそも他国を侵略し、罪無き子どもや女性を殺戮している国が、中立的な個人の資格としてでも参加を認めるなど、五輪憲章の精神に反している。
 

侵略とロシアの犯罪を支持するものとUOCはIOCを批判​

 こうしたIOC批判の高まりの中、ウクライナ・オリンピック委員会(UOC)は10日までに、各国の国内オリンピック委員会(NOC)に対し、ロシアとベラルーシの国際大会排除を継続するよう呼びかける文書を送った。

 侵略が続く限り、いかなる立場でも国際大会に参加すべきではない、とした。

 UOCが送った文書によると、ロシアの侵略で220人以上の選手・コーチが死亡し、約4万人の選手が国外に避難せざるをえなくなり、また約12万人の若年層が練習機会を失ったと説明し、IOCの欺瞞性を「両国選手の五輪参加は中立を装い、侵略とロシアの犯罪を支持するものだ」と非難した。
 

南ア締め出しの理由のアパルトヘイトよりもロシアの犯罪は重い​

 例えばかつて白人政権時代の南アフリカは、アパルトヘイトを理由に選手参加を認めなかった。有力な選手の一部(白人)が、イギリスから参加する道を探らざるを得なかったことがある。テロリスト国家ロシアの罪は、兵士のみならず何万もの子どもを含む一般市民を殺害しているだけに、アパルトヘイトの白人政権よりも重いはずだ。

​ IOCのテロリスト国家に融和的な姿勢を、僕たちは決して認めることはできない。

昨年の今日の日記:「ペテン冬季五輪開会式異聞②:無名のウイグル女子スキー選手を聖火リレー最終走者に仕立てて政治宣伝に利用したスターリニストの卑劣」