​ ウクライナ侵略戦争の流れが変わった。ロシア侵略軍は、東部のハルキウ州で、武器弾薬も捨てて、敗走している(写真=ロシア侵略軍が逃亡した後に残された大量の物資)。​

 

 


 

ウクライナ防衛軍が戦略的要衝を奪回​

 目覚ましいウクライナ防衛軍の追走の前に、侵略軍兵士は多数、捕虜になる一方、軍服を脱ぎ捨てて東方に逃げている。

 アメリカのシンクタンクの「戦争研究所」は、ハルキウ州ではロシア侵略軍によって制圧されたほぼ全域をウクライナ防衛軍が奪回したと分析、東部戦線の補給路となってきたハルキフ州の喪失で、ロシア侵略軍はこれ以上の占領地域の拡大は絶望的になった。

​ 最初の戦果は11日、ウクライナのゼレンスキー大統領は発表だ。ハルキウ州の要衝イジュームをロシア侵略軍から奪還したと宣言した(写真=奪回したイジューム市街地でウクライナ防衛軍兵士と握手するゼレンスキー大統領)。これは、2月下旬のロシア侵略が始まって以来の首都キーウ近郊の奪還に続く大きな戦果である。

 


 

ロシア侵略軍もハルキウ州の撤退を認める​

 これに先立ち、ロシア侵略軍国防省は10日、同州に展開していた自国軍部隊を、主目標とするドネツク州に差し向ける「再編成」を行うとして、ハルキウ州からの事実上の撤退を表明していた。かつて太平洋の島々を玉砕の末にアメリカ軍に奪われたのを、「転進」と言いつくろった日本軍大本営発表のようである。

 ウクライナ防衛軍が奪回したイジュームは、その南にあるドネツク州を占領するロシア侵略軍の重要な補給拠点だ。イジューム敗走の前日の10日、やはり重要な補給拠点だった北のクピャンスクをロシア侵略軍は失っている。両市の距離は、50~60キロしかないから、クピャンスクを失ったロシア侵略軍は、イジュームではすべてを投げ捨てて雪崩のように逃亡したことを推定させる。
 

敗走のロシア侵略軍、戦術核兵器使用の恐れ​

 それにしても、ウクライナ防衛軍の反撃のピッチの速さは、目覚ましい。1975年の南ベトナムのサイゴン陥落、昨年のアフガニスタンのカブール陥落と同様に、イジュームのロシア侵略軍は自壊状態になったようだ。

​ すでにウクライナ防衛軍は、ハルキウ州も含め、ドネツク州、ヘルソン州などで、合計8000平方キロの被占領地を取り戻した(写真)。​

 

 

 すでにロシア侵略軍には、兵員と武器・弾薬の欠乏が明らかになっている。プーチンは大統領令で失った兵力を補充しようとし、なりふりかまわずイランや北朝鮮ならず者集団からも輸入している。しかし態勢立て直しは、困難だろう。

​ 懸念は、やけくそのロシア侵略軍が進撃するウクライナ防衛軍をビビらせる目的で、戦術核兵器を使用することだ。アメリカもNATOも、ロシア侵略軍の核の使用には釘を刺していると思われるが、占領中のザポリージャ原発(写真)でたびたび機器を故障させ、「核危機」を演出しているだけに、油断はできない。​

 


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