明けて第9日。僕たちは、ホテルで朝食をとった後、メケレ空港に向かう。

 メケレからは、空路アディスアベバに一っ飛びだ。
 

メケレの空港にも英雄の名が​

 着いたメケレ空港も警備は厳重だった。空港ビルに入るにも、兵士が僕たち1人ひとりのパスポートを検査する。

​ 空港の正式名称は、「メケレ・アルラ・アバネガ国際空港」と言うらしい(写真)。空港ビル入り口に、そう書かれている。​

 

 

​​ エチオピアでは、空港に英雄の名を冠する所が多い。ゴンダール空港の正式は、この地が生まれの皇帝アツェ・テオドロス二世の名をとったゴンダール・アツェ・テオドロス空港(下の写真の上)だったし、アクスムもティグレ朝を建てた皇帝の名を取ったアクスム・ヨハンネス4世空港(下の写真の下)だった。​​

 

 


 

騎馬像の他にも空港内に肖像画​

 ラス・アルラ・アバネガも、前記のヨハンネス4世とその後継者を助け、国内の統一と諸外国との戦いを指揮した軍人だった。

​ その騎馬像が、空港の一角に建っていた(写真)。台座に、降伏したエジプトのパシャ(将軍)の衣装を着ている、とある。​

 

 

​ その姿は、空港内に掲額されているラス・アルラ・アバネガの肖像画(写真)でもはっきりしている。彼は、明らかにアラブ王侯の衣装を身につけているのだ。​

 


 

出発遅延、さて――​

 飛行機は、アディスアベバ行きに変わる到着便が遅れたことによって出発が遅れた。

 今までに遅延がなかっただけに、やや焦った。ちゃんとアディスアベバに行けるのか、少し不安になった。何しろこの国は、世界最貧国に近い低開発途上国だ。運航ダイヤも、いい加減なのかもしれない。

 そのためか、出発ロビーに行く途中にも設置されていた手荷物検査場で、かごの中に安物の腕時計を置き忘れた。ロビーに落ち着いてから気がつき、急いで戻って係員に聞いたが、首を振るばかりだ。
 

置き忘れてもやはり出てこない​

 僕は海外旅行に出る際、財布と腕時計、眼鏡は2つ用意する。いずれも紛失した時のバックアップのためだ。時計は、1つは普段から使う電波時計で、もう1つは竜頭で時間調整する安い時計だ。しょっちゅう時差がある場合、むしろこちらの方が便利だ。

 その安物を紛失した。

 安物でも、日本製だ。途上国なら立派な「高級時計」だろう。出てこないだろうと諦めて、手荷物検査場に向かったら、やはりそのとおりだった。

 旅行も、終わりに近いことだから、諦めた。


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