香港の経済繁栄は終わったようだ。
1年間に12万人余も人口が減った香港
このところの香港の人口減は著しい。香港政府の発表した直近6月末現在の人口は、約729万人と、1年前に比べて12万人余りも減った。統計で遡れる1961年以降で最大の減少だ。
多少の自然減はあるが、大部分は香港を見捨てて、旧宗主国のイギリスなどへの移住だ。
イギリス政府は、香港国家安全維持法(国安法)の施行で、1997年の返還前に生まれた香港市民は「イギリス海外市民(BNO)パスポート」を取得できるようにした。これによる発給された特別ビザは、制度の始まった2021年1月末から22年6月末までに14万件超に達する。それ以前、大規模な民主化デモが起こった2019年から21年までの総発給件数は約52万件にも達する(写真=2019年の民主化求める100万人デモ)。
大規模なエクソダスが、起こっているのだ(図)。
若者が脱出し、老人だけが増える
スターリニスト中国の圧迫の強まる前、経済繁栄した香港の人口は、2019年にピークを迎えた。
それと比べると、10代以下で9.7万人減、20代~30代で23.5万人減、40代~50代で8.4万人減となっている(写真=イギリスに移住する若いカップルと空港に見送りに来た人々)。
BNOの対象外もいるから、それ以外にも、自由を求めて牢獄国家化した香港を捨て、カナダ、オーストラリアに移住する市民も多い。
香港政府にとって深刻なのは、重要な若い労働力が、大量に脱出していることだ。反面、負担になるだけの60代以上の高齢層は、18.7万人も増えている。
実際、直近の労働力人口は約376万人と、19年に比べて6%近くも減っているのだ。
経済界も衰退に苦慮
香港経済界も、外資を中心に人員確保に苦慮している。それどころか拠点を、香港外に移した所も多い。自由も無く、若年労働力が乏しくなっている香港は、もはや細るばかりだ。
自由をこれまで体験したことがない本土のスターリニスト中国の若者は、今のスターリニスト中国を何とも思わないだろうが、かつて欧米並みの自由を享受した香港の若者には、今の香港はとうてい耐えがたいだろう。
精神の自由は何物にも代えがたい。それが、明日の日本でないことを祈る。
昨年の今日の日記:「スターリニスト中国の富裕層は冬の時代に突入か、習近平が「共同富裕」のスローガンで彼らを標的にし始めた」