その後、共産党は1970年代に、衆院で40議席を占める時もあり、国政選挙で普通に10%以上の得票を誇ったが、それも2000年までで、21世紀に入ると、凋落の傾向が隠しようもなくなった。
青年層の離反
原因は、ソ連を盟主とした社会主義圏の崩壊と、その後の国内の社会環境の変化に適応できなくなっていることだ。
かつては党の活動の一線を担い、党に活力を注ぎ込んだ青年・学生の参加が年と共に弱まった。1972年に起こった「新日和見主義」事件(次回に述べる)は、党中央による学生・青年層の故無き弾圧だったが、これが共産党の青年組織「民青」の衰退につながった(写真=民青第41回大会で挨拶する志位)。
今日、街頭での共産党の宣伝・ビラ配り活動を見ると、若者の動員はほとんどなく、高齢層ばかりである。
先日の参院選では比例区で、30歳以下の若年層で、支持率はポット出の参政党にも抜かれている。
得票数も党員数も30年前から半減
この若者層へのアクセスの弱体化が、最近の選挙活動で顕著に表れている。
例えば1996年の衆院選では約727万票の比例票を得たのに、先の2022年参院選の比例区では361万票と半減(目標は650万票だったから達成率は55%)している。
先頃の参院選では、比例区で30歳未満の得票率が参政党にも抜かれている。
党員は2020年で約27万人(25万人という推定もある)、30年前は約50万人もいた。
高齢化も進んでいる。最近の党員構成は明らかではないが、65歳以上の年金世代の占める割合は1997年には約2割だったものが、2010年は4割まで上昇した。前記の得票数や前述の街頭活動などから見て、今年22年には6割を超しているだろう。
年齢階梯で見ると、高齢層が多く若者層が極端に少ない逆三角形を構成しているのは確実だ。
そして高齢層は、年と共に死んで党から除かれていくので、共産党の未来は絶対的に暗い、と言うしかない。
機関紙「しんぶん赤旗」も危機的な部数減
共産党の財政も危うい。
党財政の9割を支えている機関紙「しんぶん赤旗」(写真)の部数が、どんどん減っているのだ。我々が手にする一般新聞(共産党は「ブルジョワ新聞」、「ブル新」と呼ぶ)も、活字離れでおしなべてつるべ落としの部数減になっているが、しんぶん赤旗はもっと顕著だ。
しんぶん赤旗には2種あり、主に支持者やシンパに党の宣伝活動に使う「日曜版」と、主に党員が購読している「日刊」版がある。娯楽面を充実させ、一般へのアクセスのために不可欠な日曜版が、恐ろしいほどに減っているのだ。党史上最多だった1980年には355万部だったのが、2022年には100万部に減り、直近では約80万部ちょっとに激減している。
党員向けの日刊に至っては、20万部ちょいとなっている。
部数減により、共産党の財政悪化は著しく、手立ては値上げしかなく、値上げはまた部数減に直結する。負のスパイラルに対処する妙手はない。
(この項、続く)
昨年の今日の日記:「ホンダ2000人超の早期退職が描く自動車産業の未来の大転換」