19日に投票された香港立法会(定数90)の選挙は、翌20日に開票が終了した。


民主派排除のもとでのエセ選挙​

​​ 今回の立法会選挙は、スターリニスト中国が香港の民意を封じるため、今春、選挙制度が完全改悪され、民主派の立候補が排除されていたから(3月9日付日記:「香港の民主主義に最終的な『死刑宣告』、選挙から民主派を完全排除し、立法会を『全人代』化」を参照)、結果は親スターリニスト中国派(親スタ派)が独占に近い89議席を得た(下の写真の上:開票風景、下の写真の下:選挙制度改悪を伝える街頭看板)。​​

 

 

 

 選挙制度改悪で、定数90議席のうち半数に近い40議席は親スタ派で構成される選挙委員会が選び、30議席は親スタ派が多い業界枠で、市民の投票で選ばれる公選枠はたった20議席。その20議席の公選枠も、習近平の「愛国者による香港統治」のかけ声で、親スタ派による審査・推薦を受け、「愛国者」と認定されないと立候補できない仕組みだ。

 しかも選挙制度改悪前に立法会選に出馬表明していた民主派47人は、香港国家政権転覆罪で起訴され、今も大半が収監されたままだ。
 

投票率は前回から半減、民主派に共感する市民は大半が棄権​

 まさに八百長選挙である。

 最初から結果が決まっている選挙に、香港市民もそっぽを向いた。投票率はたったの30.2%で、前回2016年選挙の58%強から半分になった。

 民主派支持の市民の大半がボイコットしたから、制限の網の目をかいくぐって立候補した自称「民主派」も全員が落選した。わずかに業界枠の1人が非親スタ派だが、まるで戦前の日本の治安維持法下の帝国議会衆議院で1人、政府反対派として孤塁を守った山本宣治のように、目立った活動をすればいずれ排除されるだろう。


戦前の帝国議会の山本宣治は暗殺されたが​

​ 労農党代議士の山本宣治は、治安維持法下で逮捕された非合法の共産党員に対する獄中の拷問などを国会で追及したため、右翼のテロリストから暗殺されている(写真=山本宣治暗殺を報じる地元紙、山本宣治は京都2区選出だった)。​

 

 

 しかしスターリニストどもは、欧米に対して民主的議会だということを示すために、故意に1人だけ非親スタ派を紛れ込ませた、とも考えられる。どのみちたった1人では、何もできないのだから。

 立法会のエセ選挙で、香港のスターリニスト中国化は最終的に完成したと言える。


昨年の今日の日記:「スターリニスト中国の半導体大手のSMICにトランプ大統領のレガシー」