​ 日本の株価時価総額トップのトヨタ自動車が減産の事態に陥っている。
 トヨタの固有の問題で、ではない。減産は、ホンダや日産も避けられないからだ。トヨタに車載半導体を供給しているルネサスエレクトロニクスの3月19日に発生したひたちなか市(茨城県)那珂工場の火災で(写真)、車載半導体生産がストップしたのだ。​

 

 


 

ルネサス火災による半導体不足で120万台も減産​
 その影響は、半端でない。野村證券の調査では、世界の自動車メーカーの生産台数は、4~6月の四半期で160万台の減産の恐れがあり、もろにあおりを食う日本の自動車メーカーは、そのうち120万台も減産となる可能性があるという。
 以前は、台湾積体電路製造(TSMC)に多くを製造委託していたが、儲からない車載半導体は供給が後回しにされるから、ルネサスは自社生産に乗り出したばかりだった。
 今、自動車には数百個もの半導体が使用されている()。自動車を動かすのに不可欠の部品で、それが入荷してこないと、他の部品が揃っていも、製造はストップする。

 


 そこで思うのだが、トヨタは、どこか小さな半導体製造会社を買収して、それが無理なら困難であっても一から立ち上げる覚悟で車載半導体の自社生産に乗り出すべきではなかろうか。​
 

かつての半導体王国の歴史​
 むろん世界の半導体競争は熾烈で、今から参入してもカネがかかるばかりで、あまり旨味はないかもしれない。
 しかし1980年代、日本は東芝、日立、NECなど、多数の重電・通信機メーカーが世界の半導体市場をリードし、当時、日本勢が7割以上の市場シェアを制した歴史がある。
 アメリカは、日本勢の躍進の前に、輸入半導体が巨額貿易赤字の大きな要因となり、日米半導体紛争まで起こった。輸入規制はもとより、アメリカ製半導体を無理矢理輸入させるられるほどになった。
 それが、今やすっかり様変わりで、巨大投資を仕掛けるサムスン電子やTSMCの前にはるかに引き離されている。世界の半導体10位までに顔を出しているのは、東芝から分社したキオクシアだけ、だ。


まず車載半導体
 先端半導体の生産設備には、兆の単位の巨費がかかる。しかし車載半導体なら、さほどの設備費はかからないだろう。ルネサスという専業メーカーに依存する脆弱さを正すためにも、トヨタは半導体生産に乗り出すべきだ。そしてルネサスとともに、世界を圧倒する地位を占めよ。
 半導体など、今やコモディティ化しているから、製造装置さえ買ってくれば、なんとかなるはずだ。
 日本の強さを再興するには、まず半導体から、と思う。​

 

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