​ 我々の暮らす太陽系のある銀河系に伴銀河である大マゼラン雲(写真)が衝突する、ただし20億年後というおよそ非現実的な遠い未来の話だが。

 


 2年前にイギリスの研究チームが、そんな発表をして、一部の天文ファンの話題を呼んだ。​
 

衝突と言うよりも吸収・融合に近い​
 実は、銀河系同士の衝突=合体は、広大な宇宙では珍しいことではない。例えば下の写真は、ハッブル宇宙望遠鏡が写した2億3000万光年離れた一対の衝突銀河「NGC6052」だが、1億個はあるのではないかとされる近接銀河同士の衝突は宇宙の長いタイムスケールでは頻繁に起こっている。

 


 銀河系への衝突では、大マゼラン雲の衝突以前には、やや大きい、やはり伴銀河であるアンドロメダ星雲(写真)が銀河系と衝突する可能性が指摘されている。40億年とも80億年とも遠い先に、アンドロメダ星雲は銀河系に衝突する。

 


 いずれも銀河と伴銀河との強力な重力による作用によってである。​
 

​​100億年前のガイア・エンケラドス銀河との衝突​
 ただ銀河系も大マゼラン雲もアンドロメダ星雲も、スカスカな状態なので、銀河衝突しても、恒星同士が衝突することはまずない。すり抜ける程度だから、衝突と言うよりも、吸収なり融合と呼んだ方がいいかもしれない。
 実は、わが銀河系が、これまで銀河衝突から免れていたわけではない。銀河系内の多くの星と異なる動きをする星の存在から、100億年前に小銀河を飲み込んだと推定されている(写真=100億年前の衝突の想像図)。
 その小銀河は、名前も付けられている。「ガイア・エンケラドス銀河」という。​​

 


 

衝突で多くの元素を創造、その後の100億年の「なぎ」状態​
 この衝突で、ガイア・エンケラドス銀河で多数の超新星爆発が起こり、多くの元素が創造されたようだ。その一部は太陽系形成時に取り込まれ、生命誕生の際の重要な遺伝物質の素材になった。
 ガイア・エンケラドス銀河の衝突以後、銀河系は長い平穏な「なぎ」状態が続いた。その「なぎ」状態が20億年後に破られる。
 

太陽系は姿を変える?​
 20億年後のことなんて、鬼でも卒倒するだろう。
 地球で最初の生命が誕生したのは38億年前頃とされるから、その半分くらいの先の話で、今の生命が存続しているかも分からないほど遠い遠い先だ。
 ただ、もし大マゼラン雲が銀河に飲み込まれたら、何が起こるだろうか。
 今の太陽系は大きく姿を変えるかも知れない。
 例えば小惑星帯の夥しい小惑星が、軌道を攪乱されて一斉に漂流を始めるかもしれない。一部は地球軌道近くに紛れ込み、地球に衝突の雨を降らす可能性もある。
 また太陽系は、銀河からはじき飛ばされ、宇宙を漂流することになるかもしれない。太陽系は銀河系の端に位置しているからだ。

 

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