今、人類はAI革命の最中にある。過去に人類がなし遂げた技術革命は3つあると思うが、AI革命だけは異質な革命、である。
 

いずれも人口増をもたらした​
 過去の技術革新を伴った3つの革命は、新しい順に産業革命、新石器革命、石器創造革命である。産業革命は、18世紀半ばから19世紀にかけて起こった動力と機械を創出した革命で、生産性が急激に膨らみ、それに伴って人口の著しい増大が起こった。
 新石器革命は、今から1.1万年前に中東の一角に起こった農耕牧畜を始めた革命で、これによりそれまで自然の恵みだけに頼った狩猟採集生活は激減した。食料生産の開始で、自然のキャリングキャパシティー(環境収容力)で制限されていた人口抑制がなくなり、それまでの全地球上で800万人程度だった人口が、瞬く間に億単位へと大膨張した。
 石器の発明は、異論があるが最古の物は、エチオピアのゴナで見つかった330万年前にさかのぼる(写真)が、少なくとも動物の解体などに用いられるようになったのは260万年前頃である。これにより、初期人類の食料に、大型動物の死体が加わり、おそらくある程度の人口増がもたらされたのだろう。

 


 つまり3つの革命により、いずれも人口増が起こった。
 

2045年にシンギュラリティーか​
 それなのにAI革命だけは、人口増を伴わない。それは、もうすでに地球の定員に人類は到達しているからだ。
 ただAI革命は、いまだ進行中である。最終的には、人工知能がヒトの知能を上回るシンギュラリティー(技術的特異点)を迎えて頂点をきわめるだろう。それは、意外と間近で、2045年にはその時を迎えると言われている。
 この時、僕らの住む世界は、どう変わっているのだろうか。
 

​​『ターミネーター』的世界の恐ろしさ​
 恐ろしいのは、人工知能がヒトの支配を離れ、逆にヒトを支配しようとすることだ。それこそ、映画『ターミネーター』で描かれたような世界が出現するかもしれない(写真)。映画は、2029年の未来社会だったから、シンギュラリティー想定年はそれよりも遅れる。

 


 少なくとも『ターミネーター』的社会を迎えないように、今のうちから人類の智恵がためされる。
 民主主義社会なら、おそらくそのための制限を設けるだろう。しかしスターリニスト中国のような民主的制約を受けない国では、それまで存続するとすれば、恐ろしいことになる。技術革新で不死の命を得た習近平が、機械を手なずけて世界を征服するなどという悪夢は、決して見たくはない。

昨年の今日の日記:「トレッキング、登山、海、歴史、花……大自然と現代史に親しんだ2018年の旅を回顧」
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