​ 韓国検察は24日、先に辞職した(事実上、更迭された)前法相の曺国(チョ・グク)の親族による私募ファンドへの不透明な投資を巡り、チョの妻で韓国東洋大教授のチョン・ギョンシムを業務上横領などの疑いで逮捕した(写真=逮捕前にソウル中央地裁に出頭するチョン・ギョンシム)。

 


 

私文書偽造の在宅逮捕後に別容疑で身柄拘束​
 以前にも検察は、逮捕状を請求していたが、地裁が却下していたが、逮捕に執念を燃やす検察は容疑を固め、再度、請求。ソウル中央地裁も、今回は証拠隠滅の恐れがあるなどとして、検察の逮捕状請求を認めた。実際、チョン・ギョンシムは、研究室の自分のパソコンを外部に運び出すなどをしていたという。
 なおチョン・ギョンシムは、先月に娘の大学院進学に関しての私文書偽造で在宅起訴されていた。今回は、さらに別容疑での身柄拘束となった。
 検察改革という名の骨抜き化を図っていた文在寅もチョ・グクも、チョンの逮捕は阻止しようとしていたが、果たせなかった。
 

文在寅の執念の検察改革は頓挫​
 韓国の検察は、日本の検察よりも大きな権限を有す。容疑者の逮捕権は、警察ではなく検察が持つ。政府の中枢ポストにも、検察官が多数、就いている。
 かつて自分が仕えた盧武鉉が、大統領退任後に検察に追及され、あわや逮捕寸前に自死したように、絶大な権力装置である。文在寅にとって、検察改革(骨抜き化)はその仇討ちの他、自身が退任後に朴槿恵前大統領や李明博元大統領のように逮捕される恐れを取り除く意味がある。
 だからこそ、自身の懐刀であった曺国を保守系やメディアの反対を押し切って法相に任命し、検察改革をやり遂げさせようとしたのだ。
 ところが、その曺国は親族疑惑の追及に耐えきれずに法相の椅子を、1カ月余りで投げ出した(写真;10月14日付「緊急日記 韓国の疑惑の『タマネギ男』曺国が法相を電撃辞任」を参照)。

 


 

来年4月の総選挙を控え、文在寅に大きな痛手​
 僕は、曺国の辞職は検察との談合が成立し、これ以上、捜査をしないことの引き替えだったと推測していたが、検察が妻のチョン・ギョンシム(写真)への逮捕に踏み切ったことは、自己の権益を侵された検察の怒りのすさまじさをあらためて認識させられた。

 


 妻の身柄を確保した検察は、次にその供述などからチョ・グク本人にも手を伸ばすことが予想される。仮にチョ・グク逮捕となれば、来年4月に総選挙を控える文在寅政権にとって大きな痛手だ。
 

文在寅の弾劾も視野に​
 仮に総選挙で保守派が3分の2の多数を押さえれば、文在寅の弾劾も現実味を帯びてくる。
 チョン・ギョンシムの逮捕で、文が執念を燃やしていた検察改革は、おそらくお蔵入りとなる。文にすれば、国民の反対を押して強い決意でチョ・グクを法相に就けたが、チョの「身体検査」が甘く、思わぬ返り血を浴びてしまった。
 これで2022年5月の任期満了しても、退任後の身分保障は無くなった。

 

昨年の今日の日記:「未知の先史時代の2度の富士山大噴火を発見、連続的噴火はあるも頻度は小さい」