やっと9月になった。昨日、一昨日辺りはやや涼しかったが、台風21号が去れば、また猛暑の日が戻ってくると予測されている。

 

今夏の猛暑、東京五輪のスタートの前倒しを促す
 今夏の過去最悪の超酷暑は各地で大量の熱中死の犠牲者をもたらしたが、一過性とは思えない。地球温暖化の影響であることは否定できず、気温40℃超の頻発する所が各地に現れる酷暑の夏に見舞われる年が今後も訪れることは想定せざるを得ない。
 それが東京五輪・パラリンピックの行われる2020年に来ることも十分にあり得る。
 それを慮ってか、組織委はマラソンのスタート時間を7時に前倒したが、そんなこんなを考えて政府サイドは、日本にも夏時間(サマータイム)制を導入する意見が出ている。
 夏時間制は、アメリカやヨーロッパなどの先進国はもとより一部途上国でも導入されているが、日照時間の長くなる夏期に時計を1~2時間早めるというものだ。

 

本場の欧州はサマータイム制を廃止か
 最近はめっきり訪れなくなったヨーロッパだが、

2007年のスペイン(下の写真の上=11年前の11月23日のマドリッド、これで午後9時半)、2014年7月のポーランド・バルト3国(下の写真の下=ワルシャワの午後8時50分頃)でも、夜の訪れが遅いことを実感した。

 

 

 

 本場とも言えるヨーロッパで、どうやらサマータイム制をやめることになりそうだ。EUの執行機関である欧州委員会が8月31日、欧州議会と加盟各国に同制度の廃止を提案する方針を決めた。
 これを決めたのは、サマータイム制がヨーロッパ各国で極めて不人気だからだ。実際、7月から8月中旬にかけて欧州委員会が実施した意見公募で、約460万人から寄せられた意見の実に84%という圧倒的多数が廃止を支持した。

 

夜は遅くまで明るいが
 サマータイム制の大きな利点は、日の高いうちに仕事を終えることで省エネ効果があり、また実施前よりも早く仕事を終えることで、日の高い時を有効に使えるというものなどがある。
 ところが省エネ効果は思ったほどはなく、かえって健康にマイナスとか夕方の余暇の時間が増えることで交通事故が増えるなどのマイナス面の指摘が多く寄せられた。
 高緯度のバルト3国ではあまり実感しなかったが、さほど緯度の高くないスペインでの体験では、確かに日没は遅くなり、秋分の日が近かったのに、夜の9時でもまだ明るいということは実感したが、その代わり朝は6時でも暗い、という体験をした。サマータイムがなければ不必要な室内点灯が不可欠だった。

 

日本で実施となれば莫大な費用が発生
 今年1月に行ったニュージーランドでもサマータイム(北半球と夏は逆になる)が実施されていて、ミルフォード・トラック行で宿泊したロッジが午後10時消灯なのにまだ明るく(写真=これで午後9時半)、午前6時に発電機のスイッチが入る朝も薄暗かった。

 


 海外に行けば、サマータイムは時差の陰に隠れ、僕たちはなかなか実感できない。
 しかし日本でも実施するとなると、年に2回、時計を早め、後に遅らせる操作が必要になる。現代は、個人の時計を動かすだけでは足りず、コンピューターのソフトも書き換えたりするなど甚大の手間とコストがかかる。兆単位のコストが発生するとの試算もある。
 さらに朝は暗いうちに起き、まだ明るいうちに寝るなど、国民生活にも影響が出てくる。
 早起きの僕にも、サマータイムなど不要だと思うし、ヨーロッパの状況を見ると、時代遅れにも思えるのである。

 

昨年の今日の日記:「イスラエル・ヨルダンの旅(番外編);乾燥地イスラエルの水の奇跡:海水淡水化で砂漠を緑に変え、水に不自由しない国に、海外に技術輸出も」