アメリカ商務省による4月に実行されたスターリニスト中国の国有通信機器大手の中興通訊(ZTE)への制裁が7日、解除された(5月4日付日記「スターリニスト中国のハイテク企業ZTEとファーウェイにアメリカが厳しい制裁、ZTE」を参照)。

 

 

アメリカの要求をほぼ丸呑みの全面降伏
 制裁解除の代わりに、同社はアメリカ政府から要求された多くの条件を飲んだ。
 10億ドルの罰金を新たに支払い、さらに今後、違法行為を行った場合は没収される4億ドルの保証金を差し出した他、中国共産党のスパイ会社であることを念頭に共産党員の現経営陣が退陣し、アメリカ政府が選んだ担当者から成るコンプライアンス部門を新たに社内に設置し、法令順守状況を10年間、アメリカ政府に報告しなければならない。
 まさに全面降伏、だ。
 同社は昨年も、経済制裁下のイランと秘密裏にハイテク製品を輸出していた件で、アメリカから約12億ドルもの巨額罰金を科されていた。

 

習近平も何度も電話で哀訴
 4月の制裁は、累犯加重の厳罰であったが、アメリカの半導体企業などとの取引が7年間禁じられたため、同社の主製品のスマホや通信設備に多くのアメリカ企業製のものが使われていたことで、5月には生産停止し、倒産の瀬戸際に立たされた。
 スターリニスト中国の有数のハイテク国有企業の倒産の危機を前に、習近平はこの問題の善処を直接、トランプ大統領に何度も電話で要請した。
 対北朝鮮ならず者集団へのスターリニスト中国の圧力を期待するトランプ大統領は、習近平の哀願を飲んで、上記条件をつけて解除したものだ。

 

共産党との関係の深い企業の狙い撃ちが有効
 この顛末から、対北朝鮮問題や貿易摩擦、知財問題などで、スターリニスト中国を動かすには、共産党との関係の深い企業を狙い撃ちにするのが最も有効であることが白日のもとに明白となった。
 そしてロス商務長官も7日にZTE制裁解除について語ったように、「アメリカの法律を犯せば大きな傷を負う。他の中国企業もよく分かったはずだ」。

 

世界経済覇権のスターリニスト中国も実態はアメリカの先端製品頼み
 この問題は、東南アジアはもちろんアフリカ、ヨーロッパなどで思うがままに専横をふるう経済大国、スターリニスト中国の弱点をはからずも浮き彫りにした。彼らの基幹技術も、すべてアメリカのハイテク製品によって成り立っているのだ。
 しかしスターリニスト中国も、同じ事を教訓として学んだはずだ。世界一の技術強国を目指す「中国製造2025」を目指し、アメリカに依存しない自前技術開発に驀進するはずだ。むろんその過程で、アメリカや日本、ヨーロッパから、先進技術のノウハウを盗むことに拍車をかけるだろう。

 

「中国製造2025」に拍車か
 だからもし習近平の狙うように「中国製造2025」が成った場合、ハイテク部品のアメリカ依存を脱し、アメリカは有効な制裁手段を失う可能性も高まる。
 今回、習近平とスターリニスト中国は、ZTE制裁問題で全面的に白旗を挙げたが、実際はどうだったのかは7年後を見ないと分からない。
 スターリニスト中国のアメリカ離れへの分水嶺となるとすると、かえって世界は暗い未来となる。

 

昨年の今日の日記:「預貯金ついに1000兆円突破、豊かな高齢者に偏るカネ」

 

追記 ZTE株、42%安
 今朝の日記で取り上げた中興通訊(ZTE)は、アメリカの制裁で株式上場している香港取引所で約2カ月間、取引停止になっていたが、アメリカ商務省の制裁解除を受け、13日、取引を再開。ストップ安の42%安で引けた。
 この日1日で、日本円で約3300億円相当の時価総額が吹き飛んだ。
 市場は、制裁解除を受けてもZTEの経営不安を懸念している。中国証券大手の中信証券の推定によると、今回の制裁で操業を再開しても、今年12月期には約500億元(約8600億円)もの巨額損失が見込まれるという。
 何よりもZTEを米当局や議会が共産党支配のスパイ企業と見なしていることにより、主力のスマホの主要輸出市場であるアメリカで売れなくなることが懸念されている。
 共産党支配のスパイ企業が倒産すれば、それは世界の安全保障にとって素晴らしいことではないか。