冬の福井に行った。

 数日前に大寒波が襲い、福井市内も17センチの積雪と聞いていたが、小松空港に着くと、雪は全くない。着陸前の周辺の景観も、茶色で白い雪はなかった。

 

剱岳を観望
 ただ途中、珍しく北アルプスの白い山並みが見え、美しかった。着陸18分前に見たから、たぶん画面中央にひときわ高く聳えているのは、後立山連峰の剱岳だろう(写真の矢印)。そしてその右下に見えるのは、黒部湖に違いない。

 


 北アルプスの雪景色は、何度か乗ったこの航路でも初めてだ。

 

出かけた雄島はすごい北西の風
 望洋楼に着いたのは、3時頃だった。日はまだあるので、荷物を置いて、雄島に出かけた。宿から雄島には、途中、自殺の名所として有名な東尋坊があるが、そこからさらに30分近くかかる。越前海岸の荒々しい崖沿いによく整備された遊歩道がある(写真=遊歩道から見た越前海岸の荒々しい姿。左に雄島が見える)。

 


 雄島は、安島漁港海岸から赤く着色された長さ約200メートルほどの橋が架かっていて、誰でも行ける(写真)。

 


 ところが漁港のある安島自体が、日本海に突き出る岬の所にあるだけに、荒ぶる日本海に浮かぶ渡島に渡ると、ものすごい北西風の洗礼を受ける。

 

柱状節理が見事
 橋を渡る前から分かったが、島全体が流紋岩で出来ているというように、有名な東尋坊と同じ柱状節理が見えた(写真)。島の北西部側は、横倒しになった柱状節理の断崖となっている。島に強風で流されたら、船はイチコロだろう。

 


 周囲約2キロの雄島には島を一周できる遊歩道があるが、「遊歩」なんてものではない。強い風に吹きさらされ、歩き続けないと体温を奪われる。途中、昔の東映映画の最初に出てきたシーンような岩に打ち付ける荒波を見る(写真)。

 


 海の穏やかな夏に来ないと、ゆっくりとは自然観察もできない。

 

「爪割の水」探すも足場が悪く見つからず
 日本海側に面した北西部の斜面に、雄島灯台があるが、登れないようだった。
 風のたたきつけるような北西部柱状節理の岩場に、「爪割の水」という名所がある。その案内板は見て、崖を降りて行って探したが、足場も悪いので、見つからなかった。海岸すぐそばにあるのに、島に降った雨水が湧き出る淡水の泉で、枯れることはないという。
 島の南東部半分は、スダジイ、タブノキ、シロダモ、ヤブニッケイなどの常緑広葉樹に覆われていて、対岸の越前海岸とは好対照をなす。暖流の対馬海流がすぐ沖合を流れているからだろう。

 

雄島からの遊歩道で崖面のウミウの集団
 深い広葉樹の森の中に、神社がある。大湊神社というらしい。漁の船の安全を祈願するものなのか。さすがに訪れる人もいない。
 この先に、南を見渡せる見晴台があり、東尋坊が目の前に見えた。
 帰りも、同じ道を急いだ。途中、断崖に羽を休めるウミウの集団を見た。そろそろ夕暮れだから、ここで夜を明かすのだろう(写真)。

 


 冬に越前ガニを食べに来たのは、3年連続だが、初めて日本海の夕焼けを見た(写真)。西高東低の冬場の日本海側は、雪か曇りである。

 

 

漆黒の夜空にたくさんの星が
 東尋坊や雄島、さらに僕の泊まった望洋楼のある一帯は、日本海側に突き出た岬となるので、雪は降らないようだ。それでも過去2年間は、曇天だった。
 珍しく天気に恵まれた蟹旅行だった。
 帰ってから冷えた体を温泉で暖めた。
 その夜の晴れた日本海上の漆黒の夜空に、オリオン大星座の他、たくさんの星が瞬いていた。こんな夜空は、近年には見たことがなかったものだ。

 

昨年の今日の日記:エチオピア旅行のため休載