所有株の中間配当の配当金領収書を普通預金に入金するために、郵便局に行った。ゆうちょ銀行の窓口で、定額預金への預け替えのキャンペーンのパンフを渡された。

 

100万円を預け替えても金利上乗せキャンペーン無し
 一頃、郵便局(ゆうちょ銀行)のキャンペーンと言うと、特別に金利上乗せがあったが、ゼロ金利下の今は、定額預金の金利も0.01%のままだ。ただ一定額(この窓口では100万円以上だった)を預け替えると、ちょっとした調味料をくれる。
 しかしインセンティブとしては、まことに弱い。昨日の日記に書いたように、証券会社で個人向け10年物国債を買えば、証券会社によって異なるが、100万円で3000円のキャッシュバックがあるのだ。
 この個人向け国債は変動金利で下限0.05%と、ゆうちょ銀行の10年満期の定額預金より金利が高い(コンマ以下だが)。郵便局でも買えるが、通常キャッシュバックはゼロである。
 ゆうちょ銀行の魅力は、今は全くない。
 そこで、ちょっと思索してみた。

 

 

地方のデジタルデバイドの人たち向けにゆうちょ銀行
 今年春からゆうちょ銀行の預け金限度額が1000万円から1300万円に引き上げられた。
 銀行、証券会社など溢れるほど店舗がある都市ならいざしらず、中には金融機関と言えば小さな郵便局しかない地方もある。
 ネット銀行を使える環境ならそれでも問題はないが、それを使えない老人は(地方でも小金持ちの老人は多い)、極超低金利でもゆうちょ銀行に預けざるをえない。その層向けに枠の拡大、と説明されている。
 困っているデジタルデバイドの人は、確かに多いだろう。
 都市部でも、極超低金利の銀行預金しか利用できない、そこそこ富裕な老人はいる。ちょっとした金融知識があれば、REITや高配当株を安いところで買う、という知恵が働くが、それすら知らない人たちはいるだろう。

 

高配当の旧国有公益株で投信組成すればいいものを
 そこで考えた。ゆうちょ銀行は、JTやNTT(ドコモを含む)、JR、さらに自社や日本郵政など、かつての国有で高配当の公益株だけに投資することに特化したファンドを作り、投資信託として販売すればいいものを、と。
 例えば配当利回りは、JTで3.36%、NTTで2.64%、ドコモで3.08%、ちょっと低いJR東日本でも1.32%、さらに自社のゆうちょ銀行で3.42%、兄弟会社のかんぽ生命で2.41%、親会社の日本郵政でなら3.27%もある(いずれも12月9日現在)。
 それらを上手に組み合わせれば、利回り3%程度の投信など簡単に組成できるだろう。

 

窓口での投信販売は「おっかなびっくり」
 むろん高配当公益株といえども、株なので値動きがある。年に1回程度は必ず訪れる株価大調整に遭えば、こうした株も一緒くたに売られる。その時に換金したら、購入者は損失を被る。
 ゆうちょ銀行は、それが怖いのかもしれない。
 現在はほんの一握りの窓口で、証券外務員資格を持った社員を置いて投資信託を販売している。しかし年間販売高は4000億円強、残高も1兆1000億円強しかない。
 野村證券の投信残高、20数兆円に比べれば、子どものような存在だ。
 まさにおっかなびっくり、なのである。

 

何で食ってゆくのか、ゆうちょ銀行
 これではゆうちょ銀行、ひいては親会社の日本郵政のビジネスモデルは描けない。
 トランプ相場の到来で、アメリカに引っ張られる形で日本の長期金利もわずかだが上昇し、10年物国債など長期債ではプラス利回りに復帰している。しかしこれが、1%に達するかと問われれば、誰しも首をひねるだろう。
 となると、ゆうちょ銀行の国債投資による運用はまだ遠い夢だ。
 今、ゆうちょ銀行は何で食っていくつもりなのだろう?

 写真はゆうちょ銀行本社。

 

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