いつ頃からだろうか、テレビを意識して国会質問に大きなイラスト入り説明板が持ち込まれるようになったのは。

 

茶番劇を的確に指摘すると、撤回してお詫び
 それだけではない、委員会での「強行」採決の時にも混乱の中に「強行採決反対」などの大きなビラを持ち込んでかざす(写真)。野党議員らは、「強行」採決をされることを完全に予想しているのだ。そして採決の後、審議をとめ、国会を一定期間、空転させる。そのうえで議長斡旋などを引き出して幕引き、審議復帰だ。

 


 これは、茶番ではないのか。
 それを的確に言ってくれたのが、去る23日の萩生田光一官房副長官だが、例によってマスコミが突いて、粗探しの民進党がかみついた。萩生田氏は、国会審議への影響を恐れ、撤回してお詫びした。
 まこと今の政界には、正論が通じないものだ。

 

対案を出さない「提案野党」の民進が日程闘争で廃案狙う「年金法案」とは
 そしてその茶番劇が繰り広げられたのが、25日の衆院厚生労働委員会での年金制度改革関連法案の採決であった。同案は、冒頭のようにビラを掲げての茶番劇の中、自公と維新の賛成多数で可決されたが、またしても民進党などは不当採決とゴネた。
 しかしゴネもそこまで。会期末を控えた昨日の衆院本会議で、民進、自由、社民退席、共産反対のうちに、自公与党と野党の維新の賛成多数で可決され、参院に送られた。
 こうした一連の流れを追うと、民進党など野党は、茶番劇を演じつつ、審議未了・廃案を狙った日程闘争に完全に終始している。
 実際、対案を出す「提案野党」になるなどの宣言と裏腹に、野党第1党の民進党は、年金改革関連法案に対案を出していない。
 出せるはずはないからだ。今のままではいずれ年金制度が行き詰まってしまうのは、彼らも承知の上のことだ。ずる賢い、卑怯だ、と軽蔑せざるを得ない。

 

責任政党なら避けて通れない年金改革
 だから「年金カット法」などという無知な国民を騙すレッテル張りをして、審議未了・廃案に追い込む腹なのだ。年金制度をいかに持続可能なものに変えていくかという姿勢は、そこにはみじんも見られない。
 今回の年金制度改革関連法案は、政権を担う政党ならいかなる党であろうと、避けては通れない改革だ。
 現在の公的年金は、毎年の物価や現役世代の賃金変動に合わせて支給額を改定してきた。現役世代からの仕送りである賦課方式だから、当然である。

 

年金支える現役世代の賃金が下がっても高額の年金受け取れる矛盾を解消
 それなのに物価よりも賃金が下がった場合、原則として物価分だけしか支給額を減らさなかった。つまりバラマキスト民主党政権時代のようなデフレで現役世代の賃金が下がっても、年金受給の親世代は相対的に高額な年金をもらい続けられる仕組みだったのだ。
 改定される新制度では、保険料を出す現役世代が苦しくなると、年金制度を支えきれないので、ちょっとだけ親はがまんして、賃金が減った分だけ減額してもらおうということだ。
 ただし現在のアベノミクス時代では、毎年2%くらいは賃金が上昇しているので、これはあくまでもデフレ時代に逆戻りした場合、というあまり想定されない場合だ。

 

少子高齢化でマクロ経済スライド方式を完全実施に
 さらに新制度では、「マクロ経済スライド方式」の見直しも盛り込んでいる。マクロ経済スライド方式は、少子高齢化で、年金受給者の増加の一方、制度を支える現役世代の減少に合わせ、年金支給額を毎年、小刻みに減額していく方式だ。
 ところが長く続いたデフレ経済下で、マクロ経済スライド方式は必ずしも厳格に実行されてこなかった。そこで、支給額の高止まりを防ぐため、実行されなかった支給引き下げ分は、翌年度以降に持ち越し、物価や賃金が上がった年にまとめて引き下げることにした。
 これで、月の支給額は100円単位の下げになるだろう。

 

世代間の不公平を是正とギリシャのように国家破綻させないために
 その点では、民進党のプロパガンダのように確かに年金は「カット」される。
 しかしこのまま放置しておいて、将来、年金制度が行き詰まったら、保険料を負担してきた現役世代はどうなるのだろう。過剰にもらった世代はとっくに墓の中で、新たに老人となる現役世代だけは、ろくに年金ももらえず放り出されることになるのだ。
 そのような世代間の不公平は、絶対に是正しなければならない。
 政府与党は、シルバー民主主義のもと、票を失う危惧をかかえながら、少しでも世代間の不公平をならそう、としている。実際、世論調査では、改革案反対が多数を占める。反対を表明する人たちは、本質を知らない、と言わざるを得ない。
 以上が、年金制度改革関連法案の趣旨だ。
 民進、共産、自由、社民の無責任左翼4党は、日本を過大な年金給付などで財政破綻したギリシャのようにしたいのだろうが、そのようなことを絶対にさせてはならない。

 

昨年の今日の日記:休載