10月27日、4日間の日程で北京で開かれていた中国共産党第18期中央委員会第6回全体会議で、習近平は狙ったとおりに、自らを従来の党トップとは別格の指導者であることを示す「核心」と位置づけさせることに成功した。

 

毛沢東、鄧小平、江沢民次いで4人目
 これまで「核心」と位置づけられてきたのは、毛沢東、鄧小平、江沢民の3人だった。これでも習近平は毛沢東と並ぶ絶対的権威を手にしてことになる。
 中共が政権を奪取した中興の祖である毛沢東はまだしも、鄧小平と江沢民は、「核心」でもやや趣を異にしていた。
 鄧小平は、中共党の役職に全く就かず、無役の長老の立場で、6.4市民革命(いわゆる「天安門事件」)の叛乱学生・市民に同情して武力鎮圧を求める鄧小平の命令に抗した趙紫陽氏を党総書記から解任し、死ぬまで自宅軟禁を命じるほどの実力者だった。

 

絶対的権威を手中にした習近平
 その趙紫陽氏に代わり、6.4市民革命弾圧を実行し、その後の強権的体制への道を拓いた江沢民は、鄧小平が江沢民に強権体制を進めやすいように権威付けさせた「核心」であった。
 習近平は、彼らよりはるかに若く、自力で「核心」の称号を得たことになる。毛、鄧の権威もなく、鄧小平から推挙されたわけでもない。それで、「核心」を得たのは、一も二もなく、「反腐敗」運動に名を借り、党内の恐怖支配を進めたからである。
 これにより来年秋の第19回党大会で、習近平は改選される中央委員や党政治局、同常務委の人事の実権を握った。おそらくレーニンの反対をおして党書記長となり、レーニン死後にソ連共産党の政治局を牛耳ったスターリン同様に、絶対的権力を手中にしたものと思われる。

 

李克強の根拠の遼寧省を切り崩し
 習近平の狙いは、次回党大会の幹部人事で自分の意に沿う人事を断行し、次々回、すなわち2022年の第20会党大会で、3期目の総書記に就任することだろう。
 ちなみに明文化されていないが、中共の党内規では党指導部の定年は68歳となっているが、現政治局常務委の7人のうち5人までが68歳越えで引退となる。
 残りの2人は、習近平自身と、そりが合わないことが誰の目にも明らかになっている首相の李克強だけだ(写真=この2人のツーショットいつまで?)。

 


 この9月に、賄賂などで票を買収した遼寧省選出の全人代の代表45人が摘発され、当選を無効にされた事件があったが、遼寧省に基盤を持つ李克強に対する習近平による切り崩しの権力闘争とされている。
 共産党員だけが選出される全人代の代表は名誉職の色彩が強いから、金満家にとって買収など日常茶飯事で、遼寧省だけの問題ではないからだ。

 

李克強との衝突は不可避
 ところがさらに5年後の2022年の党大会時点では、習近平は定年越えの69歳になっている一方、2歳若い李克強はまだ67歳である。
 おそらく習近平の狙うのは、残り1年とその次の党大会後の5年の合わせて6年のうちに、定年の内規を撤廃し、自らが3期15年の長期政権を築くつもりだろう。
 その過程で、李克強との衝突は避けがたいが、「核心」と位置づけられた習近平に内規どおりの引退を迫るのは困難で、いずれは「李克強辞任・引退」という報を我々は目にすることになるのかもしれない。

 

昨年の今日の日記:「維新の大阪市長・府知事選圧勝は共産と組んだ大阪自民への鉄槌」