オーストラリア最初の人類は、今から5万年前頃までに小スンダ列島からオーストラリアに渡海したが、大陸に定着するや急速な技術革新で、意外に早く内陸部まで拡散していったこと、そして先住の大型動物群と接触していたことが明らかになった。

 

5万年前近くにオーストラリア内陸部に人類が進出
 イギリスの科学誌『ネイチャー』11月10日号で、オーストラリアの考古学者らとアボリジニーの人たちとの共同研究を発表した。
 発掘調査されたのは、アデレードの北約550キロのフリンダース山脈北部の乾燥した峡谷のワーラトゥイ岩陰(写真=峡谷、=岩陰の位置)。

 

 

 

 ここでの9年間に及ぶ調査で、1メートルほどの深さに掘った成層から約4300点の人工品、16体分の哺乳動物と1体分の爬虫類の200点ほどの骨片を発見した。その結果、ここに最初の人類が歩を記したのは、4.9万年前頃だったことが判明した(写真)。

 

 

 

絶滅大型動物骨が人類遺物と共に
 最初の痕跡は、オーカーの使用で4.9~4.6万年前となる。
 次いで、石膏の顔料(4.0~3.3万年前)、骨器(写真=4.0~3.8万年前)、有柄石器(3.8~3.5万年前)、刃潰しされた峰付き石器(3.0~2.4万年前)などで、オーストラリアと東南アジアより、それぞれ1万年は古いという。

 


 さらに大型有袋類ディプロトドン(想像図)の遺体が岩陰に運ばれていた証拠と巨大な鳥類ゲニオルニスのものと思われる卵殻も保存されている。

 


 これらは、4.6万年以上前の人工品を伴って見つかったもので、年代が確実で成層の層位からの出土としては、オーストラリアの絶滅大型動物相の唯一の記録となる。

 

大型有袋類絶滅に人類の関与か
 ディプロトドンは、肩までの高さが2メートルもある大型で、オーストラリアでは過去最大の有袋類とされる。
 だいぶ前にパースの博物館で、ディプロトドンの復元模型を見たことがあるが、それは確かにウシを間近で見るように壮観の姿だった。1頭倒せば、群れ全員が何日も食えただろう。
 こうした大型有袋類は、4万年前前後にオーストラリアから一斉に消失するが、大型動物相の絶滅の謎に、人類の関与した可能性が初めて明らかになった。
 上記の調査結果から、5万年前頃にオーストラリアに定着した人類は、技術革新を梃子に、長く見ても数千年以内に食資源を求めて内陸部に進出していったようだ。

 

昨年の今日の日記:「緊急日記:大阪市長選・大阪府知事選で維新候補がダブル圧勝の見込み」