今夜は、スーパームーンだ。満月がふだんの満月より大きく明るく見える。今年最も小さく見えた満月(4月22日)より、直径で1.14倍、面積は3割ほど大きく見える(写真)。その分、明るさも際立つ。晴れることを願いたいが、天気予報では東京は曇、遅くには雨まで降りそうだ。この一文が、予報を跳ね返すことを願って――。

 

 

 

平均より約3万キロも近づくタイミングでの満月
 スーパームーンは、地球と月の距離が最も近づくことで起きる。
 地球の周りを周回する月の軌道は、正円ではなく、楕円だ。すなわち2つある焦点の1つに地球の位置がある。つまり地球との距離に、けっこう違いが出来ることになる。
 例えば、月と地球の平均距離は約38万4400キロだが、今夜は約35万6500キロにまで近づく。ちなみに理論的な月との最接近距離は約35万7000キロだから、ほとんど一致する。反対に月が最も遠ざかるのは、約40万6000キロだ。
 その地球に最も近づく日と満月のタイミングが一致した晩の月が、スーパームーンだ。

 

前は68年前、次は18年後
 1年に12回ないしは13回ある満月でも、スーパームーンとなると珍しく、遡ると多くの人がまだ生まれる前の1948年1月26日まで行かないとない。
 日本は、敗戦後の混乱期で、都市住民の大部分は明日食べる食べ物の確保に血道をあげていた頃だ。その夜が晴れていたかどうか分からないが、たとえよく晴れていたとしても、とてもスーパームーンなどを観る心の余裕はなかっただろう。
 曇天か雨天で、今夜を見逃すと、次は18年後の2034年11月25日の夜、となる。
 ただ今夜見逃しても、満月を過ぎた次の晩でも月との距離がまだ縮まっているので、大きく見えることは変わりはない。

 

巨大地震の発生確率高まるとも
 ただ、不吉な予想もある。月との距離が縮まれば、それだけ月の潮汐力が大きくなる。大潮が際立つのだが、それだけ地球本体にも影響力を及ぼし、大地震や火山噴火の引き金になるともいう。
 比較的浅い所で起こる地震については、月の引力による断層にかかる力が大きくなればなるほど地震が発生しやすくなるという学説がある。
 さらに東京大学の研究チームが今年発表した論文では、潮汐力の強い時期に巨大地震の発生確率が上昇することが示された。
 用心に超したことはない。

 

昨年の今日の日記:「ヒトはいつから障害者をケアするようになったのか? 東アフリカで野生チンパンジーの家族で障害児を2年間育てた観察結果」

 

追記
ニュージーランドで大地震、月の潮汐力が原因? まさか……
 ニュージーランド南島のクライストチャーチ郊外で、本日14日午前0時2分(日本時間13日午後8時2分)頃、M7.8の大地震があった。震源は、クライストチャーチから北約93キロの地点で、震源の深さは約23キロ。前記の記事の「比較的浅い所」にギリギリ入る。
 クライストチャーチでは、2011年2月にも留学生ら日本人28人を含む185人が死亡する地震が起こっているが、この規模は今回の地震よりずっと小さいM6.3だった。 大きな被害が起こっていないか気になるが、科学者はスーパームーンとの関係を疑うだろう。