1強自民党のかげで、ヘタレ野党の中で多少とも元気の良さそうな日本共産党だが、内情は危機の最中にあるという。

 

「しんぶん赤旗」日刊版が休刊の危機とか
 日本共産党の元中央委員会常任幹部会委員(通称「常幹」)で元参院議員で、一時は党のナンバー4にまで上り詰めながら、その後、スキャンダルが原因で離党した政治評論家の筆坂秀世氏が、あるブログで書いている日本共産党の現在の姿は、朝日新聞などの「進歩的」メディアが描く活躍ぶりとはずいぶんと遠い。
 まず党の機関紙「しんぶん赤旗」の日刊紙版が休刊の危機なのだという。話を進める前に注記しておくと、「しんぶん赤旗」には日刊紙と日曜版の2つがある。
 日刊紙は、一般社会面やスポーツ欄なども設けているが、一般紙の政治面などに相当する主要面は、党の路線を党員やシンパに徹底させるための評論が多く、およそ無味乾燥で面白くない。党員の必読紙となっているから、党外の人にとっては当たり前でもあるが。
 一方、日曜版は、党勢拡大のツールにするために党に好意的な一般読者を対象にし、かなりソフトで、大衆紙に近くそれなりに面白い。ただし党の方針は、がっつり貫かれているけれども。

 

党勢拡大などに機関紙は不可欠な武器
 自称マルクス主義、実態スターリニスト党にとって機関紙は、党勢拡大と宣伝・扇動活動、党の方針の末端党員までの貫徹(いわゆる「鉄の団結」)のツールとして不可欠で、ロシア革命のボルシェヴィキ党指導者のレーニンは、機関紙「プラフダ」の拡大に心血を注いだ。
 また今ではそうではないが、一時、党勢が最高潮に達していた時、機関紙収入は、党の財政を支える屋台骨でもあった。それが、今では逆に足を引っ張っているのだという。
 政治資金収支報告を見ると、共産党は政権党の自民党に次いで収入が多い。政党交付金が交付されるようになるまで、共産党は自民党を上回って常にトップだった。だから、事情を知らない者には、共産党は財政が豊かだ、と誤解される。

 

部数減は赤字に直結
 なぜなら政治資金収支報告には、「しんぶん赤旗」の売り上げがそのまま収入として表示されているからだ。これは、「純益」ではないことに注意する必要がある。
 当たり前だが、機関紙を発行するには、記者などの人件費、用紙代、印刷代、運送費など、様々な経費が要る。一般紙で一番コストのかかるのは、末端読者まで配るための販売店経費や新聞配達費だが、共産党は地方議員や党員がボランティアでやることが多いので、この経費は普通かからない。
 しかし一般企業の損益計算書では言えば、固定費はかなりの部分を占めているはずで、部数減はそのまま損失につながりかねない。

 

日刊紙・日曜版を合わせて120万部に激減
 共産党にとって深刻なのは、一般紙と同様に、いやそれ以上に「しんぶん赤旗」が減り続けていることだ。かつて発行部数は、公称350万部を誇っていたが、現在は、日曜版が約100万部、日刊紙版が20万部の合計120万部にまで激減しているのである。一般紙の部数は、高齢層にまで広がりつつある「新聞離れ」が原因だが、「しんぶん赤旗」の場合は、それに加えて党勢の衰弱が拍車をかけている。
 むろん部数20万部程度の日刊紙は、一般紙にもある。しかしそれは配布エリアが小さい、つまり県単位の地方紙である。地方紙は、それでコストが安くなっているので、20万部程度でも立派に採算が合う。最近、減少しているとはいっても、別に広告収入もある。

 

赤字の日刊紙を日曜版の黒字で補ってきたが、それも限界
 ところが「しんぶん赤旗」は、北海道から沖縄まで発行する全国紙である。それで、20万部部では、そもそも採算が取れない。10数年前から日刊紙は赤字で、それを日曜版の黒字で補ってきた。
 この間、例えば2011年9月に日刊紙購読料を1カ月に500円値上げしたが(写真=11年8月23日付日記:「『しんぶん赤旗』値上げで問われる日本共産党の存在意義」を参照)、焼け石に水だった。むしろそれで部数減を起こした可能性がある。

 


 「週刊新潮」誌(10月6日号)によると、日刊紙は発行するたびに月7000万円もの赤字を垂れ流しているという。年間8億4000万円という巨額の赤字に、いつまで耐えられるか。限界を超えれば、休刊という事態に追い込まれる。これは、機関紙を支えとするスターリニスト党にとって、死に至る病に陥ったことを意味するだろう。
(この項、続く)

 

昨年の今日の日記:「アメリカ海軍駆逐艦のスプラトリー諸島沖への派遣は、幼稚園児のオバマをキレさせた訪米時の習近平の失敗」