蓮舫・民進党新代表の力量の無さがさっそく露呈された選挙調整劇だった。

 

知事選の元民進の党支部長を民進が推薦していない不思議
 去る29日に告示され、10月16日に投開票される新潟県知事選がそれである。
 知事選には、新人4人が立候補したが、自公両党推薦の元長岡市長の森民夫氏の対抗馬、米山隆一が異色である。
 米山の推薦に名を連ねるのは、共産、生活の党、社民の3党である。先の参院選で4党共闘した民進党の名がない。この推薦3党を眺めると、米山は共産系の候補かと思ってしまう。
 ところが米山は、元民進党新潟第5選挙区支部長だった。つまり来る衆院では新潟選挙区第5区から民進党公認で出馬する予定だったのだ。それがなぜ、と思う。

 

現職泉田氏が出馬断念で党支部長の米山が意欲
 今回の新潟県知事選は、現職の泉田裕彦知事(54歳)が立候補を見送ったことによる新人乱立の選挙となった。泉田氏は、当選3回ながらまだ54歳と若い。ところが地元紙に県の第3セクターの子会社が起こしたトラブルを巡る報道がなされ、スキャンダル化することを恐れて4選出馬を断念した。
 絶対の本命が降りたのだから、蓮舫・民進党にとって絶好のチャンスだった。しかも新代表の蓮舫にとって、これが初陣でもあった。
 そこに出馬に意欲を示したのが、米山である。米山にすれば、当選すれば儲けもの、落ちても次の衆院選に名を売れる、と踏んでのことだったに違いない。

 

4党推薦で出馬記者会見の直前に県本部に呼びつけて出馬断念迫る
 ところが、新潟県の民進党は、米山が民進、共産、生活、社民の4党推薦での出馬記者会見を開く直前に、県本部に米山を呼びつけ、出馬を取りやめよ、と通告したのだ(写真=こんな米山なら、共産党の看板に掛け替えても不思議はないか)。

 

 なぜ民進党新潟県本部は、絶好のチャンスを前に腰砕けになったのか。柏崎刈羽原発の再稼働に反対する米山に、電力総連を有力組織とする連合新潟が反対したからだ。連合新潟は、自公推薦で柏崎刈羽原発の再稼働に前向きな森民夫氏に付いた。
 ここで、例えばかつての汚沢のような豪腕の政治家が民進党執行部にいれば、簡単に調整できただろう。ところがポット出の蓮舫には、新潟県に人脈もなければ、調整力・指導力もない。
 指を咥えて、米山不支持を見守るしかなかった。今さら森氏に相乗りするわけにもいかない民進党は、結局、自主投票=不戦敗となった。

 

 

新潟県本部の混乱を全く調整できなかった党代表の蓮舫
 民進党に不支持を突きつけられた米山は怒り、その場で離党届を書いた。
 そして共産、生活、社民の左翼3党の共闘候補として出馬したというわけだ。
 先の参院選の新潟選挙区(定数1)で、生活の党の森裕子は4党共闘候補として自民公認候補を破った。しかしそれは、森裕子の個人票であり、生活の党の組織票ではない。
 実働部隊の連合新潟が敵側に回り、米山としては共産の組織票に頼るしかない。苦しい闘いとなるだろう。敗れれば、もはや次の衆院選に民進党公認では出られないので、政治家としてはお終いである。
 そしてそれはまた、蓮舫・民進党の長期低迷の始まりでもある。

 

昨年の今日の日記:「ロシアによるシリアでの空爆開始でプーチンにいっぱい食わされたオバマのどうしようもない『軽さ』」