間もなくスターリニスト中国は、ブレジネフ時代後半のソ連と同じになる。8月14日付日記:「スターリニスト中国への厳しい見方が日本のビジネスパーソンに広がる、約3000人の調査で判明」」で紹介したように、ビジネスパーソンの3分の1は、スターリニスト中国が間もなくゼロ成長に陥る、と見ているのだ。

 

1970年代のソ連は「停滞の時代」
 ブレジネフが死ぬ1982年までの1970年代、すなわちブレジネフ時代後半は、ソ連にとって「死に至る病」にとりつかれた時代だった。
 突出した軍事力の負担もあり、経済成長はゼロに近く、慢性的な農業不振で、アメリカ、カナダ、オーストラリアから穀物を買い入れ、常に穀物輸出禁止圧力に怯えていて、また監視社会のもと自由を抑圧され、未来を見失った人々は活力を失っていた。アフガニスタン戦争への軍事介入でも展望が開けず、泥沼化していた。
 後に、「停滞の時代」と呼ばれた(写真=モスクワの大スーパーの一画。売り場に物がなく、たまに出回ると、長蛇の列が出来た)。

 

 

硬直した経済、内政、そして外交
 前記の日記にも紹介したように、ビジネスパーソンの8割が、スターリニスト中国にも停滞の時代が訪れることを予見しているのは、今日の外交は硬直した「俺様」姿勢で、内政は窒息するほどの抑圧体制で、さらに経済は民間債務がGDPの250%にも達し、過剰設備と過剰生産に押しつぶされそうになっている現状からの当然の帰結であろう。
 もし経済困難から政治危機に至っても、中国人は長年、羊のように飼育されてきたことに慣れっこになっている。困難を乗り越えるためには、強力なカリスマ指導者が必要だが、その候補である劉暁波氏は獄中にいるし、中国共産党内に「中国のゴルバチョフ」になれそうな偉才もいない。指導部は、みんな金太郎飴のように一色に染まっているからだ。

 

多様性のない個体群は滅びる
 生物学者なら、多様性を失った個体群は、ちょっとした衝撃にも脆く、絶滅してしまうことを知っている。遺伝的多様性さえ備わっていれば、悪性の疾病が流行して、多数の個体が死亡しても、抵抗性を備えた個体が空いた生態空間を埋めて、新たなコミュニティーを再建する。
 スターリニスト中国の共産党と指導部は、その多様性の「た」もない均質集団であり、危機にあっては武力で対処しようとするだけで、意外と脆いかもしれない。
 ちなみにロシア・ソ連の共産党支配は、1917年から1989年まで72年間であった。中国の共産党支配は1949年から、である。ロシア・ソ連の例に鑑みれば、寿命は2021年まで、ということになる。

 

昨年の今日の日記:「バルト3国紀行46:トームペア城近くで満開のボダイジュの花を観る;紀行」