ラリベラ空港から、待っていた小型バスに乗って、ラリベラの街中に向かう。

 

街までの道は未舗装のダート・ロード
 途中の道は、所々が舗装されているだけで、基本はダート・ロードだ。走ると、ものすごい埃が舞い上がる。ゴンダールからラリベラまで、わずか100数十キロを飛行機で来たが、この間に道があっても、このような未舗装の山道なのだろう。それではスピードを出せないから、6、7時間はかかることになる。
 さてこの道をラリベラの街中まで走る途中、沿道で粗末な丸い掘っ立て小屋の集落を見かけた(写真)。牧畜民の家なのだろうか。電線もない。

 

 

 

 

 

テーブル状の山、その山腹にも段々畑
 乾燥しきっているので、水はどうしているのだろうか。遠くの枯れ川まで、子どもが汲みに行くのだろうか。こういう風景を観ると、アフリカのインフラが先進国並みに整備される途の遠さにため息が出る。
 途中、ケープタウンのテーブル山やアメリカ西部モニュメントバレーのメサのような山が見える(写真)。空港から見えた山とは違う。そのテーブル状の山に向かう腹部にも、びっしりと段々畑だ。潅漑施設がないから、生産性は極端に低いだろう。

 

 

聖地巡礼の道が塞がれ、信者のために「第2のエルサレム」を建設
 僕たちはこれから、「アフリカのエルサレム」と呼ばれる世界遺産「ラリベラ岩窟教会群」(12カ所と言われる)を訪れるが、なぜこんな所に岩窟教会が多数建設されたのか。
 話は、12世紀後半から13世紀初頭に、アビシニア高原に開いた新王朝のザグウェ朝の聖ゲブレ・メスケル・ラリベラ王に始まる。王は、首都をアクスムから当時「ロハ」と呼ばれたこの地に遷都した。そのため王の名をとって、この地はラリベラと呼ばれるようになった。
 彼の治世中、聖地エルサレムへの巡礼の道がイスラム教徒に占領され、エチオピア正教の信者は聖地エルサレムに巡礼できなくなった。

 

聖地に因む名の川を挟み、12もの岩窟教会
 そこで、王がかつて過ごした聖地を模してロハの地に岩窟教会を造り、エルサレムの代替とすることにしたのだという。
 今でも謎なのだが、削岩機もダイナマイトもない時代、硬い岩をくり抜いて教会を建設するには、大変な労力と歳月がかかったと考えられる。ところが伝説によると、王は天使の力を借りてわずか20年ほどで全部の岩窟教会を造ってしまったのだという。
 第2の聖地となったラリベラには、ヨルダン川など聖地に因んで命名された川もある。乾燥地だけに、後に観たそのヨルダン川も岩の間の細い流路に過ぎなかった。
 そのヨルダン川が、教会群を第1の6つと第2の5つに分けている。さらにその2つのグループからやや離れて、世界で最も有名な教会の1つである聖ゲオルギス教会がある。

 

ティムカット祭の名残の残る街に
 聖地だから、クリスマス、ティムカット祭、イースターなどの祝祭日には、大変な賑わいになるという。僕たちが訪れた時は、もうティムカット祭は終わっていたが、まだその祝祭の余韻が残っていたらしく、聖ゲオルギス教会を見学してから街に戻る際、どこから湧いてきたのかと思われるほどの多数の信者の祭列に巻き込まれ、結局、街まで一緒に歩く羽目になった。

 

追記 北朝鮮ならず者集団、今年2回目の核実験の暴挙;核弾頭と発表
 北朝鮮ならず者集団が、9日、またしても核実験。通算5回目だが、今度は前回の1月からわずか8カ月での核実験となった。暴挙、いや果てしない愚挙か。

 

すさまじいペースの核とミサイルの開発
 威力はこれまでで最大で、小型化と同時に大威力化を進めていることが分かる。旧式とはいえ、決死の爆撃機に乗せてソウルの明洞上空にでも落とせば、100万人規模の死者が出る。
 この実験以前の今月5日には、移動式発射台に載せた3発の弾道ミサイルをほぼ同時に発射している(写真)。この3発で、ならず者集団の発射したミサイルは、今年21発となり、金正日時代の通算発射数を、この1年だけで上回っている。

 


 核兵器とともに、すさまじいペースで運搬手段のミサイル開発も進めている。
 こうしたことから、識者の間にはまだ実戦段階ではないという楽観論はあるものの、少なくとも両三年内には、アメリカ本土にも届く核ミサイルを開発するだろう。それまで金正恩の「北朝鮮」という国家があれば、の話だが。

 

数年先のテロリストの要求にどう対処するのか
 仮にその時にもまだ金正恩がならず者集団を率いているとすると、「何月何日までに次のような要求を受け入れろ。受け入れなければ、ソウル、東京、グアム、ニューヨークに核ミサイルを撃ち込む。これは、脅しではない」というテロリストの具体的要求を突きつけてくるだろう。そうなれば、国是のように固く守ってきた「テロリストとは交渉しない」というアメリカも、初めてテロリストとの交渉をするしかなくなる。
 悪夢である。テロリスト、ならず者の要求は、1度で収まらず、何度でも繰り返されるからだ。

 

昨年の今日の日記:「上野の西洋美術館に旧石器時代のレリーフ『ローセルのヴィーナス』を観に行く」