赤道直下に近い熱帯に位置しても、ゴンダールを含むエチオピア主要部は、アビシニア高原上に位置する。朝は、さすがに肌寒い。
 僕たちは、朝食後、速やかにバスでゴンダール空港に向かう。

 

◎空港ビル前に槍を手にした勇士像
 前にも書いたが、軍事政権が長く国を統治していた名残か、空港での警戒は厳しい。空港に入る前に、かつての成田空港よろしくパスポートチェックがある。チェックするのは、ガードマンではない、軍人である。
 小さなゴンダール空港ビルの正面に、槍を手にした勇ましい勇士の銅像が建っている。現地の母子が記念撮影しているが、2人とも冬服である(写真)。


 台座に、この勇士が誰であるかを表す銘板があった。テオドロス2世(Téwodros II:(在位1855年~1868年)という。後で日本に帰ってからネットで調べてみると、エチオピアの戦国時代を終わらせた「中興の祖」らしい。

 

◎盗賊から上りつめた皇帝、テオドロス2世の像
 盗賊から上りつめ、1852年、ゴンダールを含む北部州を平定し、さらに3年後に中部も制圧し、その後は主君を討って帝位を奪い、皇帝に就いている。
 北部州のゴンダールにとって英雄なのだ。
 そのせいか、ゴンダール空港の正式名称は、「ゴンダール・アトセ・テオドロス空港」という(写真)。それもあって空港ビル正面にテオドロス2世の銅像が建っているのだろう。

 

◎アビシニア高原の希少な肉食獣の絵
 空港ビルの中に入って、荷物を預け、チェックインを待つ間、フロアに様々な絵が掛かっている。1枚だけ、写真に撮った。今は北部のシミエン国立公園にしか生息しないエチオピア唯一の野生肉食獣であるシミエンジャッカルである(写真)。


 シミエンジャッカルは、どうもジャッカルの仲間ではないようで、オオカミに近いという。だとすれば、アビシニアオオカミと呼称した方が良いのかもしれない。今では、シミエン国立公園でも数百頭とされ、種の存続が危ぶまれる水準に減っている。むろん彼らの餌になる野生草食動物が激減したからだ。
 僕らのツアーは、シミエン国立公園には行かないが、たぶん行ったところでアビシニアオオカミ(シミエンジャッカル)は観られないだろう。

 

昨年の今日の日記:「おカネ考察;政府の信用力だけが支えの現代通貨とターラー銀貨」