スターリニスト中国外相の王毅が日中韓3国外相会談の訪日した。会談に先立って行われた内外記者団向けの岸田外相と握手の場面でも、例によってニコリともしなかった(写真)。かつて安倍首相と習近平が初めて会談した時も、習は仏頂面だった。

 

王毅、中国では外交担当ナンバー3に過ぎない
 王毅は、その後の韓国の尹炳世外相との会談でも、記者団の前の握手時に笑顔を見せなかった。
 岸田外相、安倍首相、そして尹外相が笑顔だったのに、である。
 これは、スターリニストたちの対立する相手国の代表と対話する際のいつもの作風である。スターリニストたちは、国外に出てもいつも国内を見ている。対立する相手国の代表との握手に笑顔を見せた画像を、中国国内で流されたたら立場が危うくなるからだ。
 ちなみにスターリニスト中国では外相といえども、外交担当ではナンバー3に過ぎない。
 トップは党政治局常務委員であるが、明確な外交担当は決まっていない。逆に言えば、習近平が超トップというところか。国務院(日本の内閣に相当)の委員(日本の副首相に相当する)の前外相、楊潔チがナンバー2であり、王毅の外相職はその下位に位置づけられる。次期国務委員を狙う王毅とすれば、日韓外相に笑顔などを見せられないのだ。

 

中韓、蜜月から冷ややかな関係に
 数年前は蜜月とも言われた中韓は、北朝鮮ならず者集団のミサイル発射で、韓国がアメリカのTHAADミサイルを国内配備を決めたことにスターリニスト中国は強く反発、韓国もスターリニスト中国が北朝鮮ならず者集団への制裁に手心を加えていることに反発、両国の関係は冷え込んでいる。だから王毅は、カメラの前では尹外相にも笑顔を見せられないのだ。
 礼の国からの訪問者でも、相手に失礼になろうが、そんなことはかまっちゃいられないのである。

 

SLBM500キロの飛行の驚き
 ところでその北朝鮮ならず者集団である。24日早朝、日本海で発射した潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)は、韓国側も驚く500キロの飛行を果たした(写真)。まだ実戦配備には至らないだろうが、これは世界の軍事バランスに大きな影響を与える1発となりかねない。


 これまで北朝鮮ならず者集団が発射したノドン、ムスダン、テポドン改は、いずれも地上発射である。ノドンなどは移動式発射台からの発射と見られる例もあるが、どのみち北朝鮮国内からの発射なので、アメリカ本国への攻撃は遠い。

 

狙いはアメリカを直接対話の場に引きずり出すこと
 しかしSLBMなら、潜水艦でワシントン沖合やロサンゼルス沖合で発射すれば、アメリカ側に大損害を与えられる。北朝鮮ならず者集団はまだ原子力潜水艦も持っておらず、通常型の潜水艦でも旧式だ。多弾頭を積めるわけではない。
 しかし仮に1発でも核弾頭を着けたミサイルをアメリカ都市部に打ち込める能力を持てば、強力な威嚇効果がある。
 それでならず者集団は、アメリカを直接交渉の場に引きずり出そうとするだろう。

 

ならず者集団と取引しかねないトランプ「大統領」
 オバマ後の次期大統領は、どう出るか。クリントン氏なら、決して彼らと交渉などしないし、場合によってはさらに圧力を強め、金王朝を崩壊の瀬戸際まで追い込むだろう。
 だがないとは思うが、トランプ「大統領」なら、政治と外交のど素人だけに金正恩と取引するというトンデモない道に踏み込むかもしれない。
 だから、北朝鮮ならず者集団はトランプ「大統領」を待っている。それは、プーチンのロシアも、スターリニスト中国も、同様である。
 その意味でも、トランプ「大統領」だけは絶対に阻止したい。

 

昨年の今日の日記:「バルト3国紀行39:日本人の住居を示す白い鳥居と日本語;追記 世界のマーケット大動揺」