リオ五輪前半戦の日本の柔道、競泳陣の快進撃は素晴らしかった。しかし遺憾ながら、後半の日本陸上の短距離走競技陣の目を覆うばかりの体たらくには失望させられた。

世界水準ではない日本陸上短距離走
 「日本初の9秒台を」と期待され続ける桐生は男子100メートルで予選落ち。さらに女子200メートルでは、福島も予選落ち。他も含め、誰1人決勝に進めなかったという惨状は、血税で強化された選手と言えるのだろうか。
 つまりは日本陸上短距離走は、世界水準ではない、ということだ。
 それなら無理して出場させ、敗退した桐生をして「僕はもう速い選手じゃない」と自信喪失ともとれる発言をさせることはない。五輪出場のハードルをうんとあげ、少なくとも準決勝には進出できる記録を出せる選手に限定すべきではないのか。
 
「アレンの法則」で黒人優位
 もっとも言うは易く、行いは難し。
 たぶん日本陸上短距離走には、動物学的な限界があるのだ。遊泳技術が速さの向上に大きな比重を占める競泳と違って、靴やウエアの技術革新も個人のスピードの向上にはほとんど寄与することはないから、陸上の短距離走競技は基本的にフィジカル単純勝負である。
 その点で、寒冷適応をしたモンゴロイドの一員の日本選手は、脚の長さが違うので、熱帯適応した黒人とその直系子孫の白人と比べれば明らかに不利である。
 動物生態学の諸法則の1つに「アレンの法則」があって、暑い地方に棲む動物ほど体表から熱を逃がしやすいように四肢が長くなる。ヒトも基本的には、こうした法則から免れない。

人類史の遺産に刃向かうモンゴロイドには相当に厳しい
 だから熱帯起源の黒人は四肢が長く、かつその四肢を活用すべく運動神経も発達しているのだ。さらに彼らはアフリカの高地に適応していた。先天的に高地トレーニングを積んできたようなものだ。
 また4万年前にヨーロッパに進出したクロマニヨン人の子孫である白人も、また冷涼な気候にもかかわらず祖先の特徴を引き、四肢は長い。人類史の遺産である。
 フィジカル単純勝負の陸上短距離走競技で、モンゴロイドが優勝するのは、相当に難しいことは確かなのだが、それは分かっていても、リオ五輪の惨状には一言、言いたくなる。
 こうした身体的限界に何度も挑戦し、ついには2008年ペテン(北京)五輪の男子400メートルリレーで銅メダルを獲得で突破した朝原宣治氏もいるのだし。バトンパスが絶妙だったという要素があるにしろ、である。

ウサイン・ボルト選手

 写真は、陸上男子100m決勝で五輪史上初めて9秒81で3連覇を果たしたウサイン・ボルト選手。その長い脚を見よ(写真)。単に長いだけでなく、その脚を俊敏に前後させる運動神経が偉業を生むのだ。

昨年の今日の日記:「バルト3国紀行36:発見! ロシア革命史に燦然と輝く栄光の『レット人狙撃部隊』の巨石像;赤軍大粛清、イオキアム・ヴァツェチス」