日本のビジネスパーソンのスターリニスト中国に対する見方が厳しくなっている。南シナ海と東シナ海で、海賊さながらの好き勝手をやり、外国人と見れば「友好人士」でもスパイ罪で捕まえる国柄である。当然だろう。


「尖閣」侵入は75%が「深刻な脅威」
 日経新聞社とアメリカ戦略問題研究所(CSIS)が共同で設立・運営している「日経・CSISバーチャル・シンクタンク」がこのほど日本企業で働く係長級以上の役職者2827人にインターネットで聞いた意識調査である。今回は、2年前の調査に続いて3回目だ。
 対スターリニスト中国については厳しい見方が続出した。
 まず尖閣諸島(写真)の接続水域を中国の軍艦が航行したことについて、実に75%が「日本の領土・領海に深刻な脅威」と回答した。人工島を建設した南シナ海情勢に関しては、95%が「反対を表明すべきだ」と答えている。このあたり媚中派の朝日新聞の主張より、ずっと健全な反応である。


尖閣諸島


8割はもはや高成長なし、3割は「マイナス成長も」
 スターリニスト中国の経済についても、見方は厳しい。10年後の中国経済の伸び率について、今の6.5%の中成長もなく、半数近い46.3%が「2~3%の低成長に移行」と答えている。さらに33.9%は、「バブルが崩壊して経済が混乱し、マイナス成長の可能性もある」と悲観的だ。つまりビジネスパーソンの8割は、もう2度と10%の高成長などない、と観ているわけだ。現行よりやや低い「5~6%の安定成長での推移」にしても、たった17.8%だ。
 ビジネスパーソンが悲観的なのは、共産党一党独裁による硬直した姿勢で、構造改革もなされず、今や民間の借金がGDPの250%近くにも達している状況からの当然の判断だろう。もっとも僕は、もっと厳しく、5年内にゼロ成長に陥る、と見ている。


AIIBも6割は「加盟の必要なし」
 このようにシビアな見方をビジネスパーソンがしているのだから、日本の対中事業も、40.0%が「縮小する」と見ていて、「撤退する」も15.0%あったのは当然か。「拡大・発展を目指す」というのは、たった8.0%である。
 今年、スターリニスト中国が国威をかけて発足させたAIIBについても、59.2%もが加盟の必要なし、だ。当面様子見も34.9%いるから、スターリニスト中国の経済侵略の道具への冷淡さは驚くほどだ。ちなみに「なるべく早く加盟国に」は、たったの5.0%だった。


共産中国への冷ややかな態度の増加に反し、台湾への親近感高まる
 南シナ海の横暴な振る舞いが、国際的な仲裁裁判で完全に批判されても、東シナ海で好き勝手に振る舞っているから、今後5年程度の時間軸で見た場合、東シナ海での緊張関係は3分の2近い65.7%が今以上にさらに高まる、と見ている。徐々に沈静化するという無邪気な見方は、さすがに極端に少なく、たった1.7%だ。
 中国に対する一時の熱狂が冷め、逆に国際法を無視しても自国利益を拡張しようとするスターリニスト中国への冷ややかな態度は、一方で同じ民主集中制をとる台湾の蔡英文政権への信頼感は高まった。台湾との自由貿易協定(ETF)締結協議は進めるべきだが6割弱にも達する一方、スターリニストに気兼ねして「距離を置くべきだ」としたのは、これまたたったの8.5%だったことは、日本が中台のどらかに軸足を置くべきかをビジネスパーソンははっきり見据えていることを示している。


昨年の今日の日記:「バルト3国紀行35:リガのハンザ同盟の遺産、ブラックヘッドの会館;紀行」