スターリニスト中国で、民主活動家への弾圧の受難が続く。
 天津市第2中級人民法院(日本の地裁に相当)は3日、「国家政権転覆罪」に問われていた著名な民主活動家、胡石根氏(61歳)の初公判を開き、懲役7年6月、公民権剥奪5年の実刑判決を言い渡し、即日結審した。


胡氏に懲役7年半の長期刑
 スターリニスト中国当局は昨年7月、胡氏ら人権活動家や弁護士ら約300人を一斉に拘束した(15年7月14日付日記:「スターリニスト中国で人権派弁護士など100人の大量拘束とタイに逃れたウイグル族難民を強制送還させるという2つの大規模人権侵害;現代史」を参照)。
 このところその人たちの一斉の有罪判決が言い渡されている。三権分立など存在せず、司法も共産党一党独裁体制の守り手であり、裁判官も共産党員だから、1度、起訴されたら、即日結審による有罪は確実だが、胡氏の場合、懲役7年半という長期刑が出された。いかにスターリニストどもが、胡氏を危険視しているかが分かる。


1994年の長期投獄に続く懲役刑
 両脇を屈強な廷吏に固められた胡氏は、今年61歳、その年齢の割に頭髪は、真っ白だ(写真)。それは、1994年、6.4市民革命(いわゆる「天安門事件」)の流血の弾圧に抗議するパンフレットなどを作ったとして反革命罪などに問われ、懲役20年(後に16年に減刑)の実刑判決を言い渡され、長期収監されていたからだ。今回、再び、長期間、獄につながれるのだ。


胡石根氏

 しかし胡氏は、耐えるだろう。09年の出所後に地下キリスト教会で伝道師として活動していた宗教者だから、それも神の与えたもう試練と受け止めるはずだからだ。
 今回の有罪判決も、胡氏が出所後、違法な宗教活動(共産党非公認の地下教会での伝道活動のこと)を通じて国家や政権を転覆させる思想を広め、2日に同罪で有罪判決を受けた活動家、●(羽の下に隹)岩民氏らに違法な組織を作らせたなどとして、「社会主義制度を覆そうとする犯罪行為により、国家の安全と社会の安定を著しく脅かした」からだ。


胡石根氏の健康と心の平穏を祈る
 スターリニスト支配下で羊のように権力に従順で金儲けだけに狂奔する一般中国人も含めて、僕はスターリニスト中国に大きな嫌悪感を抱いているが、08年憲章起草者の劉暁波氏ら「殉教」で獄につながれる民主活動家の勇気には深い敬意を抱く。
 再び「殉教」の旅に赴く胡石根氏の健康と心の平穏を心から願っている。


昨年の今日の日記:「バルト3国紀行31:リガ旧市街はネコだらけ?;紀行 追記 スターリニスト中国、郭伯雄を党除名など」


追記 香港独立派、立法会選の出馬を拒否される
 9月に予定されている香港立法会(議会)選挙に関し、香港の選挙管理委員会は去る30日、中国からの独立を唱える香港民族党の陳浩天氏の出馬を認めない、と通知した。「香港は中国の不可分の領土である」と定める香港基本法に違反する、というのがその理由だ。 この決定には、香港独立運動に神経をとがらせるスターリニスト中国の意向が働いているのは明らかだが、陳氏は立候補すれば当選が有力、とされていただけに、香港の民主主義はまたしてもスターリニストによって制約されたことになる。
 なお選管は、立候補予定者に基本法を順守するとする誓約書の提出を要求し、陳氏もこれに応じていた。その一方、誓約書提出を拒んだ穏健民主派の候補者は出馬を認められており、手続きが恣意的であることにも批判が高まっている。