世界で1週間に1度、いや最近は3日に1度はイスラム原理主義テロリストISILによるテロが起きている観がある。


フランスでテロ続発
 直近ではISILの最大標的のフランスだ。26日、北部ルーアンのカトリック教会(写真)が襲われ、老神父が喉をかき切られて殺された。ISILがカトリック教会を標的にしたのは初めてで、新たな「宗教戦争」を仕掛ける可能性が高まった。


ルーアンのカトリック教会

 その前の14日には、リゾート地ニースでトラックを戦車のように暴走させ、パリ祭の祝祭に出ていた人たちをなぎ倒して84人を殺した。このテロは、テロリストに新しいテロ手段を「開発」させたことで、西欧諸国を震撼させた。入手が難しい銃や爆弾を手当てせず、トラックやバスという大型車を人出の多い場所に突っ込ませれば、容易く大量殺戮できることをアナウンスしたからだ。テロ対策は、難しさを増している。


テロの無かったドイツでも相次いで無差別テロ
 ただ最近の注目点は、これまで唯一、ISILの攻撃を免れていたドイツが標的になり出したことだ。特に24日夜に、南部バイエルン州小都市アンスバッハで起きた27歳のシリア人「難民」の男による自爆事件は、幸い自爆犯の死以外は、15人の負傷者を出しただけで済んだが、ひょっとすると数十人の大量殺害に至ったかもしれない事件だけにドイツ国内を震撼させた。
 現場近くでは約2500人が集まった野外音楽祭が開かれており、チケットを持っていなかったために入場を断られたテロリストが持っていたリュックサックの爆発物を外で爆破させたのだ。リュックから殺傷能力を高めるための金属片が多数見つかった他、テロリストがいた難民保護施設から、ガソリンなど爆弾を作る材料も大量に見つかったという。
 男の携帯電話やパソコンから、イスラム過激派に関する映像や、男が過激派組織「イスラム国」(ISIL)に忠誠を誓うビデオが見つかったという。
 テロリストは、ドイツでの難民申請が認められず、ブルガリアへの送還が決まっていたそうだから、自暴自棄で犯行に及んだのかもしれない。


経済「難民」のシリア人、相次いで犯行
 これより数時間前の同日午後4時半、南西部のロイトリンゲンのバスターミナルで、男が口論の末に女性を鉈で切りつけ殺害した。男は現場から逃げる際にさらに2人にけがを負わせたが、間もなく駆けつけた警察官に逮捕された。これは、政治的なテロではないようだが、犯人はやはり経済「難民」の21歳のシリア人であった。
 街の施設で暮らしながら難民として認定されるのを待っていたこの男は、これまでもたびたび暴力を振るって警察にも知られていたという。死亡した女性は、ポーランド出身で(EU加盟国なので、合法的な移民である)、男とは同じレストランで働いていたという。


発端はアフガン難民の少年による切りつけ事件
 こうした騒ぎの発端となったのは、バイエルン州で18日夜に起こったテロだ。テロリストは、アフガンから来た17歳の「難民」少年で、たった1人でドイツに来て、里親に育てられながら、ISILにかぶれて列車内で無差別に人を傷つけた。銃を持っていなかったのが、幸いだった。
 次は、イラン系のやはり18歳の少年で、こちらは銃で無差別発砲し、青少年を主に8人が殺された。ただしISILとの関連はなさそうだ。


メルケル首相、政治的立場が危うし
 ドイツ南部で、わずか1週間ほどの間に立て続けに経済「難民」による粗暴な殺人やテロが起こっている。昨年はメディアのえせヒューマニズムに乗っかって、シリアなどから100万人超の経済「難民」を受け入れ、一時はノーベル平和賞候補にも擬せられたメルケル首相は、今やその後始末に窮地に立たされる。
 それでなくとも、昨年末のケルンの「難民」らによる集団婦女暴行事件で、治安の悪化が危惧されていたのだ。「難民」、特にシリアやアフガン出身者のテロで、立場は苦しくなっている。まさに恩を仇で返されているからだ。
 こうなることは、予想されていた。言語も文化も、食べ物さえ異なる、豊かだが異質の世界に流入してきた経済「難民」も、いずれは現実の厳しさにぶつかる。その時、かつての感動を忘れ、牙をむく。
 100万人もいれば、そんなはぐれ者が数人出てきたとして、驚きはない。


ISILが殺すムスリム
 最近のもう1つの傾向は、内戦下の治安の悪い途上国での大量殺害テロ、である。7月3日未明、イラクの首都バグダッドでのISILのテロでは、実に300人超が死亡する最近では最悪のテロとなった。
 そして23日、アフガニスタンの首都カブールで起きた爆弾テロ事件で、犠牲者は80人を超えた。これも、アフガンに勢力を伸ばしつつあるISILの仕業である。
 シリアのISILも負けじと無差別テロを引き起こす。27日には北東部カミシュリで連続自爆テロが実行し、一帯に分布する少数民族クルド人を50人、殺害した。クルド人も、ムスリムである。


日本の一部のテロリスト擁護論に驚き
 メディアに報道されない小さなテロは、日常的に起きている。イラクとアフガンのテロは、ISILがシーア派ムスリムを標的にした。シリアは、ムスリムのクルド人である。西欧では、シリア、イラクを攻撃する十字軍の国民への報復、と標榜するが、イラク、アフガンでは敵視する宗派や少数民族のムスリムを攻撃するのである。
 日本にも、中田考や内藤正典ら、イスラム教徒を空爆で殺す政権に対する「聖戦」とISILを称揚する歪んだ見方をする連中がいる。今は降板したが、報道ステーションで、ISILによる無差別テロをアメリカなど有志連合国の誤爆と関連づけ、テロリストを擁護した古舘伊知郎のようなアホもいる。
 彼らは、無辜のムスリムを無差別に大量殺戮するISILの野蛮な行為を、どうやって正当化するのだろうか。


昨年の今日の日記:「投資信託、なるべく買わないで;経済」