アメリカの民主党全国大会で、予定どおりヒラリー・クリントン氏が大統領候補に選ばれた。アメリカの民主党、共和党の2大政党では、初めての女性大統領候補である(写真)。


ヒラリー・クリントン


意外にも不人気
 だからさぞかし熱狂的に迎えられているかというと、意外にも不人気なのだ。
 民主党支持者の3割以上が左派のバーニー・サンダースを熱狂的に支持していたから、彼らには既成勢力のヒラリー氏は不本意な候補だ。一部には、対立候補になるトランプ氏に投票する、と公言する支持者もいる。
 かつて「レーガン・デモクラット」と言って、熱狂的にロナルド・レーガン大統領を支持した保守層を中心の民主党員がいた。それとはおもむきが異なるが、ヒラリー氏の人気は今ひとつで、かなりの民主党支持者がおよそ対極にいるトランプ氏に流れる見込みだ。
 世論調査でも、両者の支持率は拮抗し、中にはトランプ有利の結果を出す調査もある。


対立候補の共和党トランプ氏も不人気なのに
 なぜヒラリー氏に人気がないのか。
 新鮮さの乏しさ、としか考えられない。夫のビル・クリントン大統領時代からファースト・レディーとしてメディアに露出し、以後も上院議員、国務長官と華やかに活躍してきた。その蓄積で、黒人層やヒスパニックなど、マイノリティーに圧倒的支持があり、また「初の女性候補」である。それでもトランプ氏に差をつけられない。
 一方で、対立候補のトランプ氏は、黒人などへの差別発言、そして女性へのあからさまな侮蔑発言などで、総スカンをくっている。
 だから、「それなのに」である。


「トランプ大統領」は阻止を
 おそらく「声なき声」である既成勢力から忘れられたプアー・ホワイト(白人貧困層)の支持がトランプ氏に集まっているのだろう。それに、これまで政界にいたことがないので、「何かしてくれるのではないか」という未知数の魅力もある。
 とすれば、今後もトランプ氏は、過激発言を繰り返し、より一層、支持層を固めようとするだろう。
 これまで本日記で何度も述べたが、以上のように「トランプ大統領」の可能性は決して小さくはない。
 日本人は、アメリカ大統領選に何の影響力を持てないが、「トランプ大統領」は阻止したい。


昨年の今日の日記:「バルト3国紀行29:リガの猫の家とリーヴ広場へ;紀行」