新聞各社の都知事選終盤の情勢調査結果が出揃った。各紙で多少のニュアンスの違いがあるが、ほぼ予測したとおり、小池氏が優勢に選挙戦を進めるが、組織戦を展開する増田氏が急追する一方、週刊文春でスキャンダルが報じられた鳥越俊太郎は、中高年女性の支持を失い、伸び悩んでいる。


無党派層の半数を固めた小池氏
 結果は予測できないが、小池氏が都政初の女性都知事に選ばれるそうだ。増田氏は、差を詰めてもおそらく30万票差に迫るのがやっとではなかろうか。鳥越は、その増田氏にも100万票以上の大差をつけられるだろう。


小池百合子

 増田氏が苦しいのは、長年、官僚として過ごしたアカがしみついたせいか、「華の無さ」である。そのため、推薦されている自民の支持層の半分を小池氏に持って行かれている。さらに東京の「最大党派」である無党派層の半分は、小池氏に取られている。


増田寛也


鳥越、無党派層の支持は薄く、50代女性からはそっぽ
 鳥越は、さすがに推薦されている民進の6割強を固めているが、いかんせん東京の民進支持層は母数が少ない。これはほぼ100%を固めた上に無党派層の多数派を狙うのが、戦略だったはずだ。
 この無党派層の支持が、小池氏にはるかに後塵を拝し、「華の無い」増田氏とイーブンに近いことが、週刊誌報道のスキャンダルの影響の大きさを示している。実際、50代女性からは、ほとんど支持は無く、完全に見放されている。


鳥越俊太郎

 テレビでの人気と裏腹に、鳥越のネットでの悪評ぶりは際立っている。2ちゃんねるは、鳥越批判の「祭り」となった。


街頭演説回数、増田・小池両氏の3割弱
 ネットでだめならリアルで、と行きたいところだが、癌手術4回・76歳の高齢の鳥越は、街頭演説でも他2人に水を開けられている。それも大きく、である。
 25日付日経新聞社会面記事によると、街頭演説回数は増田氏64回、小池氏62回なのに、鳥越ははるかに水を開けられ、たった18回である。
 これだけ露出度に大差がついたのは、鳥越自身にやる気があるのかどうか、疑いがもたれるところだ。
 候補者への信任は、街頭演説での拍手、さらには実際の握手で、増す。自民党の今は亡き有力幹部は、「握手の回数だけ票が出る」と喝破したが、これでは人気の沸きようもない。


政策オンチに、説明責任放棄
 特に保育ママとの懇談で保育所問題の無知をさらけ出したことが、前大阪市長の橋下徹氏にも批判されている。鳥越、出馬記者会見でも政策はこれから、と逃げたし、街頭演説でも「憲法」とか「脱原発」とか国政選挙と勘違いしているのではないか、というピンぼけぶりだ。
 さらに週刊文春に対して告訴したことに対しては、「いざ自分が追及を受けたら、弁護士の後ろに隠れて『囲み取材』にも応じない。そして法的措置をとると言って逃げ回るだけの醜態。メディアの立場で徹底して公人を批判し、追及してきた鳥越氏が報道の自由を最も守らない人だった」と、他人に厳しく自分に甘い公人の『二重基準』をおおさか維新の足立康史衆院議員にも批判される始末だ。
 テレビでの歯切れの良い正義感ぶりが、今や虚飾として激しく批判される。その落差の大きさが、ネット世論を刺激しているのだ。
 テレビで築いた虚名は、週刊誌とネットで剥がれた。


最終盤、鳥越支持層はどう動くか
 最後に、こんな「外れ」に飛び乗った民進党の身の処し方だ。
 ここまで差が開くと、鳥越の逆転は不可能だ。すると頭の良い人なら、次を睨む。小池氏と増田氏のどちらが「よりマシ」かだ。
 さすがに自民・公明推薦の増田氏には乗れないだろう。おそらく終盤に、小池氏への支持移動が起こるのではないか。
 不本意な候補を担がされた東京都連の松原仁会長の心中は、いかに。拉致問題に熱心な松原氏に僕は好感を持っているだけに、気の毒でならない。


昨年の今日の日記:「中学課程から教える私大薬学部、こんな大学に進学するハイリスク;教育」