ゴンダール城の主城であるファシリデス王の城が結婚式の集団を占拠され、手間取ったために後は足早に、本当に足早に通過していく。
訪れたかった「グレート・ジンバブエ」
所々、石積みの痕だけが残っている(写真)。これも遺跡なのだろうが、このようなものの説明は一切ない。
僕のサハラ以南のアフリカで関心のある遺跡に、ジンバブエの「グレート・ジンバブエ」がある。
ジンバブエという国が治安が悪いために、ツアーを組む旅行社はない。だから行ったことはない。以前、ヴィクトリア・フォールズを訪れた時、ジンバブエに入国し、こちら側からも滝を観望したので、ジンバブエは未入国ではないが、その時、旅行社の説明会で「グレート・ジンバブエ」のツアーはないのか、と尋ねたことがある。
一般旅行者は失望するだけだからと「催行なし」
答えは、否、であった。
理由は、治安の悪さの他に、行ってみて旅行客に失望されるから、というものがある。丘の麓に石を積んだグレート・エンクロージャ(大囲壁)があり、これが長径90メートル弱の石積みの壁で、その内部に50基前後の石の廃墟があるという。紀元13世紀から15世紀にかけて、古代ショナ族の首長の手で築造されたものだ(写真)。
しかし、それだけ。だから古い遺跡に特別に関心を持たない一般の観光客は、はるばる行ってこれか、と失望してしまうらしいのだ。
足の便の悪さも
自分はグレート・ジンバブエに行ったことがあると言う旅行社の説明員が語っていたが、「行っても大したことないですよ」。
旅行社の評価がそれでは、そうしたツアーなど夢物語なのだろう。何しろ治安の悪さは世界一級とされる首都ハラレから、300キロも南に行った所なのだ。
広大なアフリカ大陸では300キロなどほんの隣だが、道路が悪ければ行くだけで1日半かかる。
国際的なホテルもあるかどうかも、疑わしい。
ゴンダールで最も美しいメントゥワブ女王の城
それはさておき、僕たちは「ここは何」とは説明を受けつつも、その説明は、ほとんど右から左に通過していく。
しかし有名な王城だけではないようだ。有能なガイドが半日ずっと付いていてくれれば、すべて把握できただろうに。
僕たちは、小ぎれいな石の城の前に立った。ゴンダール城で最も美しい城と言われるメントゥワブ女王の城である(写真)。メントゥワブ女王は、ゴンダール朝最後の王で、先王バカファ王が若くして亡くなったために、幼い世継ぎの代わりに帝位に就いたとされる。
今も現役で使えそうなほど、きれいな城だ。窓にガラスが使われ、カーテンもあるみたいなので、事務室にでも使われているのだろうか。
残念ながら、中には入れなかった。
昨年の今日の日記:「バルト3国紀行26:1991年流血の場のドゥァマ広場とリガ大聖堂など;紀行」