23日の国民投票でEU離脱を決めたイギリスで、若者たちが怒っている。
 18~24歳代では73%、25~34歳代では62%もの圧倒的多数がEU残留に投票したにもかかわらず、離脱が多数の老人層の投票で(65歳以上では離脱が60%)、離脱が決まってしまったようなものだからだ。


下院の再投票求める誓願サイトに300万人以上
 下院の設けた誓願サイトには、26日午前の時点で国民投票の再投票を望む300万人を超える署名が寄せられており、今も1日数十万人に近い署名が加わっている。10万人以上の署名では、下院での審議の検討対象となる。
 さらに予想されたように、スコットランドの独立を求める地域行政府のスタージョン首相は、すくざま独立への具体的行動を起こすことを発表した。
 このままでは、独立を求める住民投票の実施は不可避で、それも早ければ数カ月内に行われるかもしれない。国民投票ではスコットランドでのEU残留派は、62%にも達したから、離脱に不満を持つ住民は大挙して独立に票を投じるだろう。そして独立スコットランドは、イギリスの困惑を尻目にEU加盟を申請することになろう。


政府は再投票は困難というが
 イギリス政府が新たに再投票を決めるのは困難、という観測が強いようだが、例えば誓願サイトへの署名が500万、1000万に達したら、無視はできなくなるだろう。
 さらにスコットランドの分離独立が意外に早く決まるかも知れない、となると、議会では見直しの声が高まるのは必至だろう。


議会が離脱法案を拒否せよ
 イギリス議会では、与党保守党を含め7割が残留派だというから(野党労働党はほぼすべてがEU残留派)、彼らが行動を起こせば、議会がEU離脱関連法案を否決する可能性が高まる。


ウエストミンスター

 23日の国民投票が、世界の金融マーケットを大きく揺るがせた事態を目にした彼らは、国民投票を反故にする法案さえ提出できる。
 与党保守党内の指導権を固めるために決めたキャメロン首相の軽佻浮薄な国民投票の決定だが、これによって起こった世界の金融市場の大混乱は、代議制の熟議で葬り去ればよい。
 僕は、若者と議会の良識派に、一縷の望みを託す。
 連合王国よ、政治的・経済的じり貧と連合王国の空中分解を防ぐために、良識を取り戻せ!


昨年の今日の日記:「チンパンジーも酒好き、ギニアでヤシ酒盗み飲みを観察、1200万年前以降の遺伝子変異が可能にした飲酒;人類遺伝学」