ソフトバンク社の「後継」社長ニケシュ・アローラ氏(写真)退任、という記事が1面に出た。昨日22日の日経新聞朝刊である。1面トップで、日経らしい扱いである。ちなみに朝日は3面の中央付近でさほど目立たない。


ニケシュ・アローラ氏


後継社長として指名のうえ迎えられたアローラ氏
 記者発表の時点で、すでに昨日開催予定の株主総会の招集通知は、各株主に郵送済みであった。それにはアローラ氏の代表取締役副社長再任案も明記してある。まさに異例の、急遽、降板である。
 何があったのか? 日経記事によると、60歳まであと2年ほどで社長退任を前提に後継者として招いたアローラ氏だったが、最近の約2兆円もの投資先株式の売却でソフトバンクの懐が潤沢になり、事業欲が再点火した孫正義社長が退任をやめる心変わりがあったようだ。残りがあと1年ほどになり、第一線から退くのが惜しくなったのだという。
 「ニケシュほどの人材をいつまでもバッターボックスの手前で待たせるわけにはいかない。申し訳ない気持ちでいっぱいだ」。アローラ氏をねぎらいつつ、孫氏はそう語ったという。


アローラ氏に245億円もの「投資」をしたのに
 アローラ氏は、退任後も顧問に留まるから、表面上は円満退任、となる
 しかし、グーグル社から契約金も含め165億円もの好条件で引き抜き、昨年2015年度も80億円もの役員報酬を支払ったアローラ氏を、孫氏は本当にそんな軽い気持ちで首を切ったのか。しかも前述のように株主総会招集通知に再任議案まで載せていたから、退任は、おそらくこの1週間前後に決まったと見られる。
 いったい何があったのか、といぶかるのは、誰もが頭に浮かぶ疑問だ。


投資家グループからの「告発」で特別調査委員会
 以下は、僕の臆測に過ぎない。それを、まず断っておきたい。
 この1日前の21日付け日経朝刊の企業覧にたった10数行の、普通の記事より1ポイントほど小さい字で埋め草のような記事が出ていた。
 ソフトバンクの株式を保有する投資家グループから、アローラ氏の実績や適性に疑問を示す書簡が同社に1月に届いていて、それを受けて同社が設けた特別調査委員会が調べた調査が完了、その結果、「問題なし」の結論となった、と同社が20日に発表した記事である。アローラ氏退任が発表されたのは、これが記事化された同じ日である。時間差からすれば、たった10数時間しかない。


調査で「何か」があったか
 おそらく調査で、特別調査委員会は、「何か」を見つけたのではないか。それが何かは僕も分からないが、おそらくアローラ氏の経歴から、投資先との利益相反の疑惑が見つかったのではないか。
 これが発覚すれば、ソフトバンクの巨大さ重要性から、必ずマスコミ、特に週刊誌が追及するだろう、と同社は考えたのではないか。週刊誌の追及がバカにできないことは、週刊文春が火を点けた桝添前都知事の公私混同疑惑が、やがて全メディア総参加の追及大合唱になり、ついに強気一辺倒だった桝添氏も辞任に追い込まれたことからも明らかだ。
 そのために孫氏の一方的心変わりを理由とし、アローラ氏に花を持たせた形での勇退を決めたのではないか。アローラ氏にしても、世界のソフトバンクで活躍した「実績」は、大きな勲章になる。円満退任であれば、異存は無かったろう。
 この臆測が、全くの的外れなのかどうかは、やがて週刊誌が報道してくれるだろう。


昨年の今日の日記:「エチオピア、アファール地方で新種(?)猿人『アウストラロピテクス・デイレメダ』発見;古人類学」