ロシアは、どこに行くのだろう? いや、どこに行きたいのだろうか。独裁者プーチンの心中を、僕はどうにも推し量れない。


原油・天然ガス安で昨年はマイナス成長、今年も、か
 外交的・軍事的にうまく行ったと言えるのは、独裁者アサドにシリアへの軍事介入を行い、自由シリア軍とISILへの空爆でアサドの盛り返しに貢献したくらいだ。
 あとは、ほとんど対外的に閉塞している。ヨーロッパではクリミア強奪と東ウクライナ武力侵攻で制裁を受けたままだし、対アメリカも同様。南のトルコは、シリア国境でのロシア軍機撃墜事件で緊張関係にある。
 アジアでは、対日関係も停滞している。先のソチでの安倍首相とのさしの会談でも、大きな前進はなかった。
 経済に至っては、原油・天然ガス安で、昨年はマイナス3.7%成長である。今年、2016もマイナス成長に留まる可能性が高い(世界銀行は、1.9%のマイナスを予測)。
 資源に頼る経済の不健全性は、ソ連時代から指摘されていたことだが、全く改善されていない。武器と航空機以外、工業製品で国際競争力は全くない。原油・天然ガス価格が低迷すれば、経済はとたんに失速する。


メディアを完全統制して高支持率維持
 2000年以来、一時、メドヴェージェフに大統領職を譲った時を除いて、プーチンは権力の座に就き続けている。
 経済はどうなろうと、つまり国民生活がどうなろうと、自分の権力を維持できればそれでよい、と考えているとしか思えない。そのためにはテレビ、新聞というメディアを完全に掌握し、常にプーチン礼賛をトップニュースに持ってこさせる。
 だからパナマ文書に名が出ようと、泰然としていられる。
 そして支持率は、8割超を維持している。


ジョージア侵略でも欧米の制裁無しでクリミア強奪
 しかし、ロシアと国境を接するヨーロッパの国々は、常に警戒を怠れない。
 特にクリミアを強奪した事件は、かつてスターリンのソ連に侵略されて強引にソ連に組み入れられたバルト3国にはそうだろう。
 そもそもは2008年のペテン五輪の年であった。ロシアは、ジョージア(当時はグルジアと呼ばれた)に侵攻し、南オセチアを奪った。ついでにロシアの半占領状態だったアブハジアも、事実上、版図に組み入れた。
 この時、バルト3国は不吉な予感を抱いたが、EU諸国の大半はロシアの横暴を放任してしまった。それが、ロシアにとって教訓となった。
 強引に他国を侵略し、領土に組み入れてしまっても、そのうち現状容認される、と悟ったのだ。クリミア強奪は、その帰結だった。


工業先進国への道、閉ざされる
 したがって東ウクライナでの侵略も容認すれば、次は国内にロシア系住民を抱えるバルト3国が標的になるのは明らかだ。
 しかし、その状況は、ロシアが西側に広く受け入れられ、投資が殺到し、工業先進国化する決定的な妨げとなる。いつまでも不安定な原油・天然ガスに経済が左右される状況は変わらないのだ。
 それでもいい、とプーチンは、思っているのだろうか。
 スターリン主義体制下では、独裁者は死ぬまで権力を維持し続けなければ、自分は牢獄に行くか処刑されるしかなかった。だから自発的には、決して権力を手放さなかった。
 今のプーチンは、スターリン主義者ではないけれども、同じ思いなのだ。権力の座を降りれば、後継者によって訴追され、投獄か処刑を恐れているのだろう。


テフ畑

テフ畑2

神の指の岩を観る

ゴンダールの郊外

 写真は、エチオピアの補遺。タナ湖からゴンダールに行く途中。最後の写真は、峠から観たゴンダールの郊外。


昨年の今日の日記:「抑圧はNGО、墓参者にまで、スターリニスト中国での底知れぬ弾圧の果て」