北朝鮮ならず者集団は、31日午前5時20分ごろ、日本海側の江原道、元山(ウォンサン)付近から、「ムスダン」中距離弾道ミサイル1発を発射したが、失敗した。発車直後に爆発、機体はほとんど飛行しなかったとみられる(写真=軍事パレードでお披露目されたムスダンと思われるミサイル)。


ムスダン


射程4000キロ、発射実験ないまま50基以上配備
 北朝鮮が発射に失敗したムスダンは、射程約4000キロで、日本全域のほか、アメリカ軍の基地があるグアムも射程に収める。テポドンが固定式であるのに比べ、ムスダンは移動式で、発射の位置や兆候を事前に把握するのが困難とされる。
 北朝鮮ならず者集団は、アメリカ本土にはまだ到達させられなくとも、ムスダンでグアムを射程にとらえ、アメリカに対する一定の威嚇効果を狙ったものだ。ムスダンを、北朝鮮ならず者集団は発射実験を行わないまま、2007年に実戦配備したとされ、現在50基以上が配備されていると見られる。

エンジンに根本的欠陥か
 ところが今回の発射失敗で、ムスダンにエンジンなどに根本的な欠陥のあることが明白になった。なぜならムスダン発射失敗は、今年になって4回連続となったからだ。
 まず、金日成生誕記念日の4月15日に初めてムスダンを試射したものの発射直後に空中爆発した。第7回労働党大会(5月6日~9日)前の4月28日にも発射を2回試みたが、いずれも失敗した。ムスダンは旧ソ連製の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を改良したものたが、これで信頼性に致命的な傷がついた。
 ムスダン発射は、金正恩が今年3月にじきどきに発射指示を出している。こうした4発連続の失敗は、金正恩のメンツを大きく傷つけたことになり、責任者の粛正は必至だ。


追記 衆参同日選なくなる
 参院選と同日の衆院選が、なくなった。消費税の10%増税は、2年半、延期となり、一時はその発表と同時に明言されるかと推測された解散だったが、安倍首相は周囲に否定した。
 これでまた1年後に、衆院解散をめぐって政局が動く。選挙となれば、有権者に受け入れにくい政策は実施できないから、安倍首相のフリーハンドは、それだけ狭まる。民主主義国のうち、世界で日本が国政選挙の1番多い国である現実は、今回も踏襲される。
 それによって、政治が停滞する弊害はすでに述べた(2015年12月13日付日記:「日本は欧米先進国でも飛び抜けて多い国政選挙、そのもたらす弊害もまた多い;政治」を参照)。
 安倍首相が衆院解散回避を決めたのは、同日選を行っても、衆院で与党が3分の2を超える現状のようには行かないかもしれないことを危惧したのだろう。そうなった場合、悲願の憲法改正がまた遠のく。さらに下手をすると、自民党は20~30議席を減らす可能性がささやかれていた。
 また一抹の不安として、沖縄のアメリカ軍属の男による女性暴行殺人への影響も懸念したと見られる。伊勢志摩サミット成功とオバマの広島訪問・原爆慰霊碑献花などで首相支持率は上がっていただけに残念である。

 所用で数日ほど休載します。

昨年の今日の日記:休載
昨年の明日の日記:「スプラトリー(南沙)諸島領有化と南シナ海の内海化を強行するスターリニスト中国の蛮行を糾弾;現代史」
昨年の明後日の日記:「今度はLIXILグループが『中国の罠』にはまって巨額損失見込み;経済」

昨年の3日後の今日の日記:「西トゥルカナのロメクウィアン文化の発掘、『ネイチャー』で報告;考古学、古人類学」