日本を初め、世界を洗う超低金利の波は、ついに行き着くところに行き着いたか。
 例えばヨーロッパの小国アイルランド。つい先だってジャガイモ飢饉の話題を取り上げたあの国で、3月末、ついに年限100年の国債が発行された。


償還は2116年、保有者は誰も償還金を手にできない!
 期間100年だから、償還は実に2116年と、保有者が誰も生きていない遠い未来になる。年利回りは、2.35%。
 リーマンショックの後、アイルランドは金融危機に陥り、EUやIMFから金融支援を受けた。しかしその後は、徹底した財政改革で見事に立ち直った。100年債の発行は、その証である。
 その後、先月、ベルギーもこれにならい、100年債と50年債を発行した。ちなみに日本国債の最長年限債は40年債である。


帝政ロシアに金を貸し込んだフランス
 しかし100年債は、誰が買うのか、僕など疑問に思ってしまう。もちろん保険会社などの機関投資家である。機関投資家は、超長期国債も利子狙いで需要がある。償還など、当てにしていないのかもしれない。債券の中には、期限のない永久債だってあるのだ。
 ちなみに100年後でなく、100年前はどうだったか。
 ヨーロッパは、第一次世界大戦の真っ最中であった。そして1年後の1917年、帝政ロシアは革命で潰れた。
 これはドイツとの消耗戦を戦っていたフランスには、大打撃だった。当時、イギリスと並ぶヨーロッパの債権国だったフランスは、シベリア鉄道建設(写真=1900年)資金など、帝制ロシアに巨額の金を貸し込んでいた。


シベリア鉄道


レーニンの革命政権は債務継承を拒否、フランスは大損
 そこに、ロマノフ王朝が打倒された。そしてレーニン率いる革命ロシアは、帝政期の債務の継承を拒否。フランスは、ドイツとの戦争で国土が荒廃しているのに、国家再建のための当てにしていた償還金を受け取れなかったのである。
 それが、100年前である。だとするなら今度の100年債も、1世紀後に国家があるのかどうかも怪しいから、よく、買うな~、という思いなのである。


富士山と芝桜、本栖湖リゾート

本栖湖リゾートの芝桜

富士市中央公園のバラ

 写真は、先日出かけた花のツアーの補遺。上2枚は本栖湖リゾートの芝桜祭り、下は富士市中央公園のバラ園。


昨年の今日の日記:「バルト3国紀行17:「十字架の丘」の上と裾に増殖しつつある十字架群」