乾季のため迫力のない青ナイルの滝を観望した後(写真=枯れた滝。雨季はここまで水が流下する)、僕たちは、青ナイル川峡谷を下り、そこを渡す吊り橋に向かった。


水なし滝の河床

 吊り橋の幅は、約1メートル(写真)。人が通るには十分だが、家畜は無理だ。


峡谷を渡す吊り橋

青ナイル川の小峡谷にかかる吊り橋
 峡谷そのものは、それほど深くはない。また幅も、さほど広くはない(写真)。しかしこの吊り橋が架けられるまで、対岸との行き来は大きく迂回を余儀なくさせられていただろう。


吊り橋から見た峡谷2

吊り橋から見た峡谷

 青ナイル川は、ここからさらに南東に流れ、いくつかの瀑布を流れ下り、やがて次第に南に向きを変え、その後、一転して西進を始める。
 このあたりからは高さ3000メートル近いアビシニア高原を深く削り、さながらグランド・キャニオンのような景観を造り出すという。
 そしてやがてまた北転し、スーダンのハルツームで白ナイル川と合流し、大河ナイル川となる。


吊り橋を渡ってみる
 つまり青ナイル川は、右が逆刺となった大きな釣り針のような流路をしている。
 吊り橋を渡り、この水がやがてナイル川となってエジプトを潤すのか、と思うと、日本とは異なるスケールを感じた。
 僕たちは、一通り渡って、元に戻る。
 帰路に、青ナイルの滝を遠望できる断崖に来ると、20人ばかりの外国人ツーリストが滝のそばで観望しているのが見えた(写真下の上)。位置を変えると、僕たちが渡った吊り橋の架かる峡谷へと向かう流路が見えた(写真下の下)。


青ナイルの滝遠望

青ナイルの滝遠望2


エチオピア初の青空トイレ
 青ナイルの滝に達するまでは、青ナイル川は緩やかな川だった。
 ここから少しずつ、荒々しさを表すのだろう。
 元の道で、僕たちはエチオピア旅行で初めて青空トイレを経験する。こちらの方が、訪れた時にインフォメーションで利用した不潔極まりないトイレより、よほど衛生的である。
 終わって少し行くと、また小さな子供に会った。清潔そうな服を着ていて、腕にミネラルウォーターのペットボトルを抱えているから、貧しくはないのだろう。


首からロザリオをかけて
 首から、ちゃんと十字架のロザリオをかけている(写真)。


水を持った子供

 写真を撮らせてもらった。ポケットを探ると、キャンデーが1個入っていたので、その子に渡した。
 すると……。周囲の子供たちがワッと寄ってきた。もうキャンデーはない。
 他の子供たちには申し訳ないことをした、と後悔した。


昨年の今日の日記:「バルト3国紀行15:遂に来た! 反スターリン主義の抵抗の聖地『十字架の丘』;紀行、現代史」