広いアフリカをすべて回ったわけではない。むしろほんの僅かを、垣間見たに過ぎない。南アフリカ、ボツワナ、ジンバブエ、ザンビア、モロッコ、エチオピア――国にしたところで、たったそれだけだ。


蚊によって媒介される要警戒の疾病=黄熱病
 それでも次のようなニュースに接すると、アフリカはまだまだ未知の大陸だと思う。
 WHOによると、アフリカ南西部の産油国アンゴラで、昨年12月以降、黄熱病が拡大し、今月4日までに疑い例を含め計2149人が感染、うち277人が死亡した、という。
 黄熱病は、野口英世が西アフリカの現ガーナで感染し、命を落とした病気だが、熱帯病だけに日本には無縁な病気でもある。
 しかしネッタイシマカによって媒介されるために、熱帯アフリカでは警戒される疾病でもある。


中国人が「貯水池」になる懸念
 もう1つ警戒しなければならないのは、感染が産油国アンゴラへの出稼ぎ労働者の多いスターリニスト中国にも飛び火していることだ。
 黄熱病は、ヒトからヒトへの感染はないとされるが、一昨年夏の首都圏を襲ったデング熱のように、中国人観光客や不法滞在者が「貯水池」となり、そこから日本に上陸する懸念はある。


乾燥地に蚊はいないはずだが
 今年1月にエチオピアに行ったが、エチオピアは幸いにも黄熱病の汚染地ではない。タナ湖湖畔のような一部を除くと、国土の主要部がアビシニア高原であるエチオピアには、蚊はいない(写真=アビシニア高原の乾燥した大地)。


乾燥したアビシニア高原

 WHOが警戒するアンゴラは、国土がほとんど乾燥地なので、本来は黄熱病が流行する地ではない。ちなみに大西洋に面し、黄熱病感染者の集中している首都ルアンダ市でも、年間降水量は325ミリに過ぎない。
 したがって黄熱病ウイルスは、隣国のコンゴから持ち込まれたと思われ、その証拠に、感染者の70%は首都ルアンダとその周辺に集中している。


ルアンダ市

 オイルブームに沸いたルアンダ市(写真)は人口が急増し、国内のみならず、周辺国からも失業状態の出稼ぎ者を吸収し、今では450万人以上を超す。アンゴラ全体の人口は2400万人ほどだから、その2割が集中しているのだ。


いっそ「習近平病」とでも名付けたら
 途上国の人口急増都市ならどこにでもあるように、当然、市内にはどぶや水たまり、空き缶・ゴミの集まるスラムが存在し、ここはネッタイシマカの絶好の「培養」地となる。
 ここに流れ込んだコンゴでの感染者が「貯水池」となって、流行したのだろう。
 いかにも今日的アフリカの一断面だが、スターリニスト中国にも感染が広がったというのも、いかにも今日的である。いっそ「習近平病」とでも名付けたらよい。
 蚊のわき出る夏に向けて、中国人観光客にわく日本も、ちょっとだけ注意していた方が良さそうだ。


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