ゴールデンウイークが明けても、1年で最も快適な季節に入る。梅雨のうっとうしい時期まで、束の間のベストシーズンを楽しみたい。

昔、夏の夜は雨戸も閉めないで寝ていた
 梅雨の後半になると、もう日本の夏はエアコンなしには夜を眠れない。今では、窓を開けっ放しにしても蒸し暑く、またマンションでも防犯上も開け放てない。
 ゴールデンウイーク中、録画しておいた宮崎駿監督のアニメ、『風立ちぬ』を観て、一驚した。主人公の二郎(日本の航空機開発の父とも言われる堀越二郎がモデル)の幼少期、田園の大きなお屋敷で、夏の夜、蚊帳を吊って、雨戸も閉めないで寝ていたのだ。
 現実の堀越二郎の実家は群馬県藤岡市なので、アニメの家も、そこなのだろう。時は、今から1世紀前、すなわち大正初年(1910年代後半)と思われる。アニメでは学生時代に実家からの帰省時に関東大地震に遭っているから、逆算するとそうなる(この震災で後に妻となる菜穂子と出会う)。
 試みに老人に聞くと、昔は夏に雨戸など閉めずに寝ていたという。つまり『風立ちぬ』の二郎の幼少期は、それが絵空事ではなかったということだ。
 今ならあり得ない夏の夜の夢、である。

刑務所は満員ぎゅう詰めでもアメリカの35分の1
 それでも今も日本は、世界では抜群の治安の良さなのだ。
 日本の刑務所は常に満員で、定員6人の雑居房に8人を詰め込むなどという話をよく聞く。近年は犯罪者が増えたといっても、世界的には極めて少ないのだ。
 例えば日本の2013年末の刑務所に収容されている犯罪者は約6万3000人だが、犯罪大国のアメリカでは、実に224万人を数える。日本第3位の人口の名古屋市の人口並みだ。

ヨーロッパ諸国や韓国の半分
 アメリカの人口は、日本の3倍に近いけれから、それを補正するために1人当たりで見ても日本の14倍、である。
 アメリカに次ぐ刑務所大国は予想されるようにマフィアののさばるロシアで、人口当たりでは日本の10倍に近い。
 先進国では比較的マシ、とされるフランス、韓国でも人口当たりでは日本の2倍もある。治安が良いとされるドイツでも、日本の約1.5倍だ。
 つまり日本は、世界でも例外的に安全な国なのだ。それは、世界に誇ってよい美徳であり、一部の左翼や自称「進歩的」メディアが貶めるようなギスギスした国ではない、ということだ。
 それは、先人が築いたレガシーである。それを守りたい。

ところで『風立ちぬ』、僕にはいちばんつまらなかった
 最後に補足、枕として述べた『風立ちぬ』、宮崎作品の中で僕にはいちばんつまらなかった。


風立ちぬ

 ヒコーキ野郎の二郎の青春期に、堀辰雄の『菜穂子』と『風立ちぬ』のヒロインを無理やりくっつけた印象が残る。
 青春時代、堀作品は僕の愛読書だった。それが映像化され、叙情的に仕上げられた感動よりも、不自然さばかりが目に付いた。

昨年の今日の日記:「バルト3国紀行12:果てしない緑の大平原、だが氷河期の遺残で土地は痩せている」
昨年の明日の日記:「ブログで『自由』を訴えて懲役12年、ベトナムのスターリン主義の恐ろしさを体現するグエン・バン・ハイ氏の場合;現代史」