夏の参院選の前哨戦と注目された衆院の2つの補欠選挙のうち、焦点の北海道5区は、自民新人の和田義明氏が接戦を制し、当選した。


和田氏当選


1週間前の事前調査、朝日は「横一線の接戦」、日経は「和田氏優勢」で日経の勝ち
 安倍政権には、ホッとさせられた結果だろう。何しろ反安倍政権の朝日新聞は、1週間前の事前調査結果で、横一線の接戦と報じていたからだ。もっとも日経新聞では、同日の事前調査結果記事で自民の和田氏が一歩抜けだし優勢、と書いていたから、日経新聞の勝利、かもしれない。
 ただ結果を子細に見ると、参院選に向けでやはり不安を残した。
 当選した自民党公認の和田氏と、次点となった民進・共産連合の池田真紀候補との得票差はたった1万2000票余り。和田氏の得票が13万5842票だったから、1割程度の僅差だった。


「新党大地」の支援なければ負けていた?
 和田氏には、前回はバラマキスト民主党(現・民進党)に付いた鈴木宗男の「新党大地」が、共産党との連合を批判して、支援に回った。新党大地の北海道5区内の基礎票は2万5000票ほどある、とされる。
 つまりもし「新党大地」が、民進に付いていれば、文句なしに逆転されていたことになる。
 北海道5区の有権者は、またしても昨年に成立した安保法への民進・共産の「戦争法案」というデマ攻撃に目をくらまされた。いつまでもこんなデマに惑わされるのか、と慨嘆する。
 それでもこうした結果になるからには、デマ攻撃は一定の成果を得たことになり、夏の参院選でも、特に1人区では油断できないことになる。


景気後退に入った時に増税はあり得ない
 このような状況で、ほぼ決定的になったのは、来年4月の消費税の10%への増税の先送り、である。
 それでなくとも、最近の弱い景況感に、先の熊本地震はさらに弱材料を提供した。5月半ばに発表予定の1~3月期実質経済成長率は、前四半期に続いてマイナスになると見られるが、地震の影響の加わるその先の4~6月期もマイナス成長は決定的と言える。
 明らかに日本経済は、景気後退局面に入っている。ここで予定どおりの消費税増税を発表すれば、消費者のマインドをさらに冷やし、さらに厳しい景気後退に落ち込む。


なお不透明な衆参ダブル選
 本来なら減税で消費を喚起しなければならない時に、増税など狂気の沙汰と言うものだ。
 おそらく来月の伊勢志摩サミットで、安倍首相は消費税増税延期を発表するだろう。
 その時に、同時に衆院解散・衆参ダブル選も発表するかどうかは、分からない。熊本地震が、解散に対して大きなプレッシャーになっているからだ。


昨年の今日の日記:「株価2万円時代の新しいステージに突入、だが一方に難癖付けの窮乏化論者たちも」