タナ湖畔、バハルダール市のラーナイルホテルでさんざん待たされたうえ、やっと鍵を受け取ったのに、ホテルのボーイがなかなかスーツケースを持ってこない。
15個のスーツケースを前にモタモタ
ここで、僕たちは早々と「アフリカ的接遇」にあったのである。ポーターが文盲なのか、単に気が利かないのか、添乗員氏のものを含め、15個のスーツケースを荷台に載せたまま、モタモタしてなかなか持ってこないのだ。
集合時間3分前になったので、スーツケースを待たずに部屋を出ると、他の部屋の同行者たちが吹き抜けになった階段を見下ろし、もたもたしているポーターに、それ、それ、とスーツケースを指して口々に声をかけている。
みんな、スーツケースが届くのを待っていたのだ。見かねた添乗員氏が出て、ポーターに指示して、次々と部屋に届けていく。
ディナーのレストランも蚊の群舞
そんな混乱で、ディナーの時間は大幅遅れとなった。ディナーの食卓で、シャワーでさっぱりしていたのは僕だけで、皆から感心されてしまった。
そのディナーを採るレストランも、蚊が盛大に舞っていた。このレストラン、広めのバルコニーを客席にしていた。
だから、蚊がいっぱいというのも、むべなるかな、である。用意のいい誰かが蚊取り線香を焚いていたので、刺されることはなかったが。
熱帯低地はツェツェバエ、ネッタイシマカ、ブヨなどが恐ろしい
ホテルは、タナ湖(写真)の湿地に近いから、おびただしい蚊がいるのも、しかたがない。
熱帯アフリカで恐ろしいのは、低地のツェツェバエとネッタイシマカ、ブヨである。
ツェツェバエ(写真=※注)は恐ろしいアフリカ眠り病(トリパノソーマ症)を媒介する。ネッタイシマカはマラリアや黄熱病を、ブヨはオンコセルカ症(河川失明症とも)を媒介する。
アフリカ古代文明が高原に開花したのは吸血昆虫がいないから
何という偶然か、主要地域が熱帯にあるアフリカ大陸は、またその地域のほとんど(特に東アフリカ)が高原地帯にある。したがってツェツェバエもネッタイシマカもブヨも、ここにはほとんどいない。
グレート・ジンバブエ(写真)などのアフリカの古代文明のかなりは、高原地帯か乾燥地に開花したが、それは重篤な疾病を媒介する昆虫がいなかったからだ。
※注 一昨年、ツェツェバエのゲノムが解読されたが、それによるとツェツェバエのゲノムから、糖質代謝遺伝子が1つも発見されなかった。つまり動物の血液のみを栄養源とするのだ。ヒトの他に、アフリカで重要なウシなどの家畜をも吸血し、畜産を崩壊させる。
昨年の今日の日記:「バルト3国紀行:いよいよリトアニアへ、ハンザ同盟の古都カウナスに着」