北朝鮮ならず者集団が外貨獲得のために、主にスターリニスト中国で営業する高級朝鮮料理店の従業員13人が、7日に集団脱北したというニュースは、ちょっとしたサプライズだった(写真=韓国に到着した従業員たち)。


集団脱北した北朝鮮レストラン従業員


身元審査、密告による監視があったはずなのに集団が脱北合意
 これまで脱北は、失敗したら北朝鮮に送還され、厳罰に処せられるので、家族単位や個人単位の脱北だった。それが、赤の他人の集団(男性支配人1人と女性従業員12人)での一斉脱北した。こうした場合、たとえ支配人主導であっても、脱北の誘いを従業員に漏らした段階で、監視役に密告され、本国送還となっていた。
 それが、やすやすと13人もの集団を集められたというのは、北朝鮮人の間でかなりの割合で金正恩体制への忌避感が広がっている、と見られるのだ。ちなみに北朝鮮で、たとえスターリニスト中国であっても海外勤務となれば、身元は厳重に審査され、家族は人質にとられる形で北朝鮮に残置される。


広がる金正恩体制への絶望感
 そうした層は、いわば金正恩体制にすれば安心して海外に出せる優良層である。そんな層でも、誘われれば容易に脱北を決意するムードが広がっているのだ。韓国行きの話を持ちかけられた時、誰も反対しなかったという。むろん北朝鮮に残した家族は、強制収容所送りになる。その危惧をありながらの決断は、北朝鮮の体制への希望のなさの表れに他ならない。
 この食堂は、韓国メディアによると、浙江省寧波にある柳京食堂だという(写真)。13人もの従業員の抜けたこのレストランは、従業員たちが韓国に到着した7日に、廃業したという。


寧波の柳京食堂


スターリニスト中国、集団脱北を黙認か
 注目すべきは、脱北の気配のある中国への北朝鮮からの入国者は、従来は見つけ次第、北朝鮮に強制送還していたスターリニスト中国が、今回は、13人の集団脱北・韓国亡命を知りながら妨害しなかったとみられることだ。
 スターリニスト中国外務省は11日の記者会見で、「6日未明に有効なパスポートを持って正常に、かつ合法的に出国した」と述べている。有効なパスポートを持っていようと、食堂従業員が13人もまとまって東南アジアの国に出国しようとすれば、脱北を疑って当然だ。
 一行は、いったんその国に入国し、韓国当局の手引きで7日にソウルに到着した。韓国政府は、この「成果」を誇示するかのように、翌日8日に事実を公表し、顔などを修正したうえ、写真も公表した(上の写真)。


相次ぐ高官級の亡命
 韓国当局は、さらに11日に対韓工作を担当する情報機関大佐とアフリカ駐在外交官一家の脱北も公表した。
 北朝鮮ならず者集団は金正恩の第1書記就任4年を控え、5度目の核実験実施が観測されるなど、祝賀ムードにある。
 こうした一連のエクソダスは、連中に冷水を浴びせたに違いない。金正恩らは、例年この時期に、軍・党・政府高官の忠誠をかうために贅沢品の特配などを行っているが、その資金源は完全に失われつつある。


昨年の今日の日記:「先週に続き、『雨男』今日、再び『雨予報』の金沢へ」