タナ湖上で青ナイルの源流を観た後、僕たちのボートは少し動いた。
西の空の夕日が、タナ湖の対岸に没しつつある(写真)。
ターナーの絵のよう、夕暮れの水面にパピルス舟を漕ぐ人
その時、島影からパピルスの舟を漕ぐ男性を現れた。舟の形は藁ずとに入った水戸納豆のようであった。納豆の入る所に人が1人座って、櫂で漕ぐ。漁業者なのか、夕暮れの水面に黒い影をおとすその風景は、僕の好きなイギリスのロマン主義画家ターナーの絵を観るようだった(写真)。
その時でも湖の東側は、まだ明るかった。茅とカヤツリグサ(パピルスの草)の生い茂る入り江に、隠れるように1艘の舟が浮かび、人が1人いる。肩から銃を提げている(写真)。現地ガイド氏によると、警備の者ではないか、という。
漁を終えて家路につくパピルスの舟
さらにそこから離れた先ほどの島の岸に、パピルスボートを漕ぐ男性が僕たちの横を漕ぎ通っていった。僕たちを見ると、笑顔を返す(写真)。
舟の上に何か積んでいる。どうやらタナ湖で採って魚のようだった。すると、最前のパピルスボートも、漁を終えて家路に帰る漁民だったらしい。
なるほどさほど荒れないタナ湖の漁だったら、パピルスの舟で十分に用が足りるわけだ。これなら作るのにも、あまり手間を要しない。
タナ湖は豊かな湖
翌日の昼、僕たちは「青ナイルの滝」の見学後、タナ湖を見下ろす湖岸段丘上のレストランでタナ湖で獲れたテラピアを食べた(16年2月8日付日記:「エチオピア紀行(8):エチオピアで食べる飯は意外とイケた、チキンは地鶏で絶品の味」を参照)。
きっとこうしてパピルスの舟で獲った魚が、翌日のレストランに出るのだろう。あるいは自家消費か。
この男の舟も、夕暮れに消えていった(写真)。
昨年の今日の日記:「ポーランド紀行:最後のポーランド歩きを終え、バルト3国のリトアニアへ;紀行」